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第二十九章 テンシの訪問 将来、月に移住する地球上の有機生命体が、どうあるべきかを、今まで、お話してきました。 わたしは、あくまで地球の有機生命体の代表格である人間を何とかして月に移住出来る精神まで向上させたいと思って、一心不乱に、地球の皆さんにお話してきました。 しかし、難しくて理解できないのか、それとも理解しようとする気持ちがはなからないのかとうとう、テンシが切れてしまって、わたしの処へやってきました。 偉い、しんどい人間がますます増長してきておる。もう許せんと、えらい剣幕です。 特に、地球のへそである日本が一番堕落して、偉い人間ばかりがいい目をしておる。 また、それを臆病な一般大衆が黙認しておる。自分さえ、火の粉がかからなければ、よいと思って、知らぬ振りをしておる。 もう、どちらも許せん。と言って、恐るべき仕掛けをしたと、いきまいておるのです。 そして、その対象に印をつけて、お仕置きをする際の目印にしておくつもりらしい。 その印というのが、「想い」と「ことば」が乖離している人間は額の真中に×印がつけられるらしい。 つまり、腹の底で思っていることと、言葉で吐くこととが違っている人間は、その乖離が大きくなれば、なるほど×印が大きくなるようです。 当人は、気がつかないようになっていて、お仕置きをする大魔人が見たらすぐ判別できるようになっています。 テンシによると、大きい×印がついているのは大半が日本人の、特権階級にあぐらをかいている連中や、何の実力もないのに、大きな会社の社長や幹部だというだけで、偉そうな態度をする連中だそうです。 特に、この前テンシがテレビで見たそうですが、人間社会で地球が太陽のまわりを一周するごとに新年とかいって祝っておるらしく、その新年の時に、こういった連中が集まってパーティーをやっていたらしい。 その中で出てくる、偉いおっさん共の面を見たらへどが出たそうです。 見るからに、いやしい、あさましい顔をした連中ばかりで、中には、まったく人畜無害な面をした連中が偉そうに演説しておったらしい。 その面は、どう見ても世のために身を賭して、己の力をふり絞っているようには見えん、ただ、上の様子を伺いながら、ゴマを摺る人生に終始した面をしておった。だからみんな上目づかいの、ものを直視できない顔になっておる。 テンシはこう言って怒り心頭でわたしの処へやってきたのです。 そして、そういった連中の額に大きな×印をつけてやった、といきまいています。 わたしも、たまたま、それを聞いてテレビのニュースで、その集まりの様子を見ましたら、何と、みんな×印が額につけられているのです。 本当にテンシはやったのです。困ったものです。 しかし、その×印のつけられた人間の顔を見ると、テンシの言うことも仕方ないと思いました。 それほどに、わたしでも、こんな顔をした連中が、日本の重要な位置にいるのかと思うと、この国の人間はどうかしているのではないかと思うぐらいひどい。 わたしには、地球上の人間の、表面に出ない想いを読み取ることが出来ますから、テレビで映っている彼らが、いくら立派なことを言っても、想いのところでは全然言ったことと違うのが分かるのです。 想いのところでは、コンプレックスが潜んでいて、自分でも、何も立派な功績を残すようなことはやってきていないことを良く知っておるのです。 その中で、一人だけまともな人間がいたとテンシも言っていましたし、わたしもテレビでその人間を見て、なるほどと思いました。 その人間は、 「日本のこれからの期待されるリーダーは?」と聞かれて 「日本にリーダーなんているの?」と、こういったばかげた会合を苦々しく思っていることが人目で分かるような表情をしていました。 驚いたことに、その人間の額には×印がつけられていませんでした。 テンシもなかなかやるな、と思ったのです。 多分、二十一世紀に入ったあたりから、この×印をつけられた人間たちが、お仕置きを受け始めるだろうと、わたしは、はらはらしているのです。 そして、テレビを見ていると、まあ×印のついた人間の多いこと、ばかげたお笑いショーのホストをやっている連中などみんな×印です。 当然、ほとんどの政治家、役人も×印です。 また、口の聞き方をまったく知らない、まるでお化けのような女性タレントがうようよ×印をテンシからつけられておる。 こんなに×印ばかりだと、日本人全部がお仕置きを受けるのではと心配しています。 どうか、このわたしの自叙伝を読んでおられる人間の方だけでも、テンシから×印をつけられないよう、自分を磨いて頂きたいと思います。 |