第一章 神としての決意

いよいよ実行前夜の気分です。
この状態のときが一番緊張するものです。いざ実行となると腹もすわって、すんなりと行動に入れるものなのですが、そこまでの、待ちの状態がやはり一番心が揺れ動くものです。
「想い」そのものである、わたしでも心が揺れ動くものであります。
ましてや、人間を引き連れての行動でありますから、果たして彼らが、わたしの思うように動いてくれるかを考えますと、ますます緊張する訳です。
しかし、ここまで来たら、引き返すことは出来ません。
人間の首に縄をくくりつけてでも、引き連れて行く覚悟であります。
その決意の程をまず、ここではっきりと宣言しておこうと思います。
これからの20年、50年、そして100年。大きく分けて三つの段階を経て、人間を月に移住させること。これが最終的に実行すべきことであります。
この三つの段階を、詳細に明確にして、各段階でやるべきことは何であるかを、お話していきたいと思っています。
そこで、まず20年後までに何をすべきかが、これからの命題であります。
改正編でも申しあげましたように、わたしカミ、テンシ、そして人間それぞれの共同作業になると思います。
そこでまずしばらくは、わたしカミの役割について述べてゆきたいと思います。
20年後には、月で有機生命体の一番進化した人間の中でも月に移住出来る資格のある人間を、まず1万人ほど選んで、地球と月と、その間を結ぶ宇宙ステーションを往来出来る環境にすることであります。
最終的には15億人程の人間が月に移住するのですから、現在の60億以上の人間の整理をしておかなければなりません。
そうしておかないと、20年後の宇宙ステーションテストに、邪魔をする人間が出てきては困るからです。
20年後から50年後、そして100年後の段階では一気にいかなければなりません。
そのためにも、邪魔な人間の整理が必要です。
テンシは、この整理の仕事を自分がやりたいと言っておりますが、彼にやらせると、たしかに、結果は早くでますが、ちょっと激し過ぎるため、人間にとっては、かなり苦痛の伴うことになります。
長い間、地球にいた人間ですから、わたしも愛着があります。
出来れば、あまり苦しまずに整理してやりたいと思うのは情でしょうか。
だから、テンシには、はっきりと人間の整理をするのはカミであるわたしの仕事であると、言い含めました。
残念そうな顔をしておりましたが、以前に比べて、剣山での人間との触れあいを経験してからテンシも大分、人間に対する悪印象も少なくなってきておりましたので、納得してくれました。
さあ、これから、わたしが、人間の掃除をするという仕事について、詳細に考えを述べてゆきたいと思います。