|
第十章 新しい人間の基準−4 この章では決断力について、お話したいと思います。 決断力は基礎体力で言えば、筋力であり、決めるスピードの速さを言います。 早く走ろうと思えば、足の筋力がまず要ります。その上に手を早く上下運動させる筋力も要ります。 そうしますと、速く決める力はどこから出てくるか。脳から出てくるか? 脳を通って出てくることは確かです。だが脳がそのルーツではありません。それならば脳の動きの速い人間、つまり頭の回転の速い人、頭の良い人が決断力があることになります。 現実の人間を見ていて、頭の良い人間が決断力があるとは言い切れません。 決断力の速さの決定的要素は、脳からスピーディーな情報が入ってきたのを、素早く判断して、脳に実行のサインを送る「想い」の速さであります。 組織のトップは、大きな組織であればあるほど、きめ細かい、正確な情報がトップにダイレクトに入ってきません。中間層がいます。それが脳なのです。 いくら脳が素晴らしいスピードと正確な情報をトップに上げても、トップからのイエスかノーかの指示が素早く出て来なければ、無駄になってしまいます。 しかし、逆に中間層の脳が、能力がなく、正確性もスピーディーさも劣った情報しか、トップに上げられなければ、これもどうしようもありません。 そうしますと、決断力の速さを決める重要な要素は、スピーディー且つ正確な情報をインプット・アウトプット出来る脳、つまり組織の中間幹部を配しておくことが前提条件になります。その上でトップがスピーディーな決断を脳に指示する。 それか、もう一つの方法は、図抜けたトップがいて、中間の脳を使わず、自分自身が中間の情報処理も素早く出来て、そして決断する方法もあります。 組織が大きくなればなるほど、後者の方法は困難になります。本来は後者の方が、効率が良いことは言うまでもありませんが。 特に中間層の脳が、すべて有能だとは限りません。そして皮肉なことに組織が大きければ大きいほど中間層の脳のレベルが低くなっていきます。 野球のチームで言えば、エースの投手力で勝ち抜いていくか、チームの総合力で勝ち抜いていくかの違いと同じであります。 野球の例に従えば、エースを要したチームが、いくら敵が打撃力のあるチームでも、勝ちを収めているケースが多いのです。 ということは、優秀な中間層を擁するよりも、エースつまりトップが有能なチームの方が結局勝つことになる場合が多い。 やはり、卓越した決断力のあるリーダーがいかなる組織を動かす場合でも有利であると言わざるを得ません。 今まではチームワークと言われてきました。 しかし決断力が新しい人間の基準の重要な要素であれば、これからは個人として図抜けた能力の持ち主でないと失格だということになります。 今まで良く言われてきた、調整能力のあるリーダーなんていうものは、屁のつっぱりにもならない訳であります。(ちょっと、油断すると、すぐに下品な言葉を使ってしまって申し訳ありません) 結局、決断力があるということは、総合力でも、各能力でも人より図抜けた能力を持っているということになります。それだけのあらゆる能力を保持出来るということは、先天的要素も加味されましょうが、やはり本人の並々ならぬ努力の賜物でないと駄目だと思うのであります。 決断力のある人間は努力家。決断力のない人間は怠慢な人間。 と言えるのではないでしょうか。 |