第二十章 神としての基準−1

人間にも、これから月に移住する新しい人間としての基準を設けました。
それなら、新しい神としての基準も設けなければなりません。
では神の基準について、お話していきましょう。
まず神の定義から始めていきましょう。
日本語でいう神の語源は、漢字から来たのではありません。
神代文字という一種の象形文字が古くからあって、それが日本に漢字が入ってきた時に神という字になったのです。
神という字の偏はネという形をしていて、神代文字では、人間のことを意味していました。漢字でもネ偏は人を意味します。
また、旁の申は、「申します」という言葉があるように、「言う」「喋る」という意味です。
そうしますと神という象形文字は、「人が喋る」という意味になります。
人が喋るのが、どうして神になるのか。
日本の古くからの宗教は、先祖崇拝から来て、歴史もそうですが、書物に残すよりも、口頭伝説を大切にしてきました。神道に巫女さんというのがいますが、この巫女さんが、代々口頭伝説を引き継いできたのです。日本最古の公式歴史書となっている古事記も稗田阿礼という巫女が、喋ったことを太安万侶という人間が漢字に書き写したものです。
要するに、先祖という神さんが、巫女さんを通じて喋っている訳です。もちろん先祖の神さんは、とうに死んでいないのですから、どこかから、喋らせている訳です。
実際には、巫女さんの記憶が喋っているだけのことです。そして先祖の神さんが存命中、偉い人だったら位の高い神さんになる訳です。
従って、日本の位の高い神さんは、みんな天皇家の血を引いている先祖が多いのです。だから日本の神さんは、本当に人間くさい神さんです。そこが、わたしからすると親しみを感じるのです。日本の神さんは決して自分のことを、元人間だから万能だとは思っていません。ただ、その上に宇宙創造神とか、何とか、かんとか、言っておるのは頂けません。まあ、彼らも、自分たちの及ばないことは、すぐに宇宙創造者とか何とか言って片づけておいたら便利だからでしょう。しかし感心するのは、そういった宇宙創造神にも表と裏との世界を創っておるところです。
天御中主命大神が表の世界の最高神だったら、国常立命大神が裏の世界の最高神にしている。これは素晴らしい知恵だと思います。
一方、西欧の宗教である神は唯一神であり、万能神であり、天地創造者であり、絶対的存在であるため、絶対善の考え方に懲り固まってしまっている。
これでは、宇宙の真理を表現出来ないのであります。
西欧では神のことをGodと言います。しかし現実に絶対悪の悪魔もおる訳です。聖書にも悪魔のことを書いておる訳です。そうしますと、何故、万能で絶対善のGodが悪魔(Devil)を創ったのかというシンプルな疑問が誰にも湧いてくるのです。そしてGodを信じる聖職者たちは、古来、この問題を、どう説明していいのか解らないのです。
しかし、God のことをDivineとも言いますが、Divine という言葉はインドのサンスクリット語のDevから来ています。また悪魔のDevilも同じサンスクリット語のDevから来ているのです。同じ語源なのです。ヒンドゥー教ではシバとデビという夫婦の神さんがいて、そのデビからDevは来ているのです。
では何故、Divine とDevil が同じ語源から来ているのか。
西欧の神では宇宙の法則である二元論を説明出来ないのです。唯一なのですから。
ただ絶対世界では一元論なのですが、人間ではとうてい及ばない世界でありますから、きっちりとした説明が出来ない。仕方なく、唯一神の存在は曲げないが、二元論は認めざるを得ない。そこでこういった仕掛けをして、しかも人間の祖先のアダムとイヴの話におひれをつけた。
最初、神は、アダムとリリスという男女を同等に創ったが、リリスが女性の権利を同等に主張する。そうすると、宇宙の男がプラスで女がマイナスという二元論が通用しなくなる。リリスがアダムとまったく同じことを主張する。そして結局初めての男女が初めての離婚をしてリリスはどこかへ消えてしまった。Godは困り果てて、アダムの言うことを聞く女性を創ることにした。それがイヴなのです。イヴはアダムのあばら骨から創られた、そうしておけば、イヴはアダムの分身でもある。そして、そのイヴが男性の性器のシンボルである蛇の誘惑に負けて、知識の木の実であるりんごを食べた。そしてアダムにも食べさした。ここからDevilの存在原因をでっちあげたのです。
これは、あきらかにシバとデビの物語と同じです。
一方、同じインドで生まれた仏教の始祖は、神の存在を認めていない。
彼は非常に、科学的発想の持ち主だと思います。
一番、宇宙の真理に近づいた人間だと思います。
こういった人間の、神の概念の中でわたしは、人間の先祖でもありませんから、彼の概念に近い中で神の定義をしたいと思っています。