第五十九章 逆さまの二つの時間

我々は、過去や未来と『今』は違うとは思っているが、現在と『今』は同じだと思っている。
逆に言えば、
我々は、現在と『今』とが違うとは誰も思っていない。
ところが、
過去や未来と現在とは繋がっているが、過去や未来と『今』は繋がっていないのである。
言い換えれば、
未来から現在になり、現在から過去になるが、未来から『今』になることも、『今』から過去になることも絶対にないのである。
従って、
過去・現在・未来を水平的な時間と言うのに対して、『今』を垂直的な時間と言っている。
つまり、
汽車に乗っている自分から窓外に見える光景(景色)が過去・現在・未来であり、自分と一緒(同時)に走っている汽車が『今』なのである。
逆に言えば、
汽車と一緒(同時)に走っている自分が『今』なのである。
まさに、
過去・現在・未来は移り(映り)行く映像に他ならない。
まさに、
『今』は汽車と一緒に走って(動いて)いながらも、静止している実在に他ならない。
ところが、
我々は過去・現在・未来を(実)時間だと思っている。
従って、
過去・現在・未来は光景(空間)で、『今』が(虚)時間だったのである。
まさに、
(実)時間と(虚)時間は逆さまだったのである。