第四十一章 世界共通言語

前にも、お話しましたが、今後、世界の言語にローマ字が大きな位置を占めて行くだろうと申し上げました。
この傾向は日本だけのものではなく、全世界レベルのものになっていくと思われます。
では日本の場合には、今ある漢字、仮名との関わりはどうなっていくでしょうか。
ここに一つの見本が既にあります。
数字であります。1から9までのアラビア数字はほとんどの国で公式に使用されております。
日本語での数字は一、ニ、三・・・九でありますが、普段使用しているのは、アラビア数字であります。
アラビア数字だからといって、アラビアで使われた数字ではありません。
アラビア語には、独自の数字があります。もとはインドで考案された数字で、それをアラビア人がヨーロッパに伝えたことからアラビア数字と呼ばれているだけです。
それぞれの国の言語に、独自の数字を持ちながら、汎用性からみれば、アラビア数字をどこの国も使用しています。そしてそこの国の文字としても認められています。
数字が、世界共通の文字になっているのなら、他の言葉もその可能性は充分あると思うのです。
他の例で言えば、暦もそうであります。現在ほとんどの世界で西暦を使っておりますが、その国の暦と併用が多いようです。
日本で言えば、元号と西暦であります。
中国などは陰暦を使っております。アラビアにもイスラム暦がありますし、イランなどは独自のイラン暦があり、西暦で3月21日が元日で、ノールーズと言われています。
しかし、国際的には、西暦であります。
西暦は、云わずと知れた、イエスキリスト生誕の年を西暦元年としておる訳ですが、キリスト教でない国でも西暦を使っております。
そうしますと、1月から12月、日曜日から土曜日といった言葉もアラビア数字と同様の共通語の方が便利な訳です。
こういった言葉は、日常生活の上では、極めて多いことがわかります。
ただ発音の問題があります。
数字でも書けば、1、2、3、・・・9となりますが、読めば、
日本語では、イチ、ニ、サン、・・・。
英語ではワン、トゥー、スリー・・・。
中国語では、イー、アール、サン、・・・。
フランス語では、アン、ドゥー、トゥワー・・・。
とみんな違う訳です。
これを、みんなローマ字の言葉にしてしまえば、発音はほぼ同じになります。
そうしますと、表意文字としても同じで表音文字としても同じであれば、これは同じ言語になる訳です。
普通、同一言語というのと、共通言語というのがあります。
同一言語とは、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、・・・世界に5000言語あると言われています。
しかし、共通言語となると、かなり圧縮されます。
一番端的な例がスペイン語、ポルトガル語、イタリア語ではないでしょうか。
結局、源流は同じラテン語であったのが枝分かれしただけのことであります。
そうするとラテン語が同一言語で、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語が共通言語となります。
こういった共通言語を、ローマ字でくぐれば、かなりの比率で、表意、表音文字が共通化され、日常生活する上においては、ほぼ同一言語になり、言葉の障壁がなくなることが可能になります。
多分、あと20年もすれば、共通語彙が相当増えて、共通言語に近い形になるものと思われます。
言語が同じになると考え方も似てきて、結局、宗教も文化も同じになっていくでしょう。
世界から戦争を無くす唯一の手段が、この方法であります。
しかし、一方で、各民族固有の文化、文明が消え去っていくことになる訳です。
どちらが善いとかいった問題ではなくて、人類が、他の生物と違った点は、この文明を持って来たからこそ、ここまで発展して来た訳です。
果たして、共通言語が世界平和に貢献する方が良いか、固有の文明の競争による切磋琢磨による人類の発展の方がいいのか、それは今、ここで結論を下すのは早過ぎるのではないでしょうか。