第三百十七話 子供は自己の存在証明

オス社会=世襲制社会
何故でしょうか。
オスは子供を産めないからです。
生きものの基本本能は種の保存本能にあることは前にお話しました。
本能欲である食欲・性欲は種の保存本能欲から起因しています。
知性を有する生きものである人間だけが有する人的欲望、つまり、金銭欲・物質欲・権力欲・名誉欲・知識欲・悟欲といったものも食欲・性欲といった本能欲が水面下にありますから、「欲」の基本は種の保存本能欲と言っても過言ではありません。
オスとメスという番いによって種の保存が為されるわけですから、オスもメスも不可欠であることには変わりはありませんが、その機能において決定的な違いがあります。
メスが子供を産むのに対して、オスは種を提供するだけですので、自己の種の保存はメスだけしか出来ません。
平たく言えば、
メスは自分の種を自分が産んだ子供によって100%確信できますが、オスは自分の種を100%確信することは不可能です。
逆に言えば、
子供にとって、母親は絶対的な自己の源ですが、父親は絶対的ではありません。
つまり、
自己の種の証明は母親(メス)は出来ても、父親(オス)は出来ないのです。
オス・メス二元論において、メスが実在で、オスはメスの不在概念に過ぎない所以がこの点にあります。
何故なら、
メスは種の保存という生きものの基本本能欲を満たすことが出来、自己の存在証明が出来ますが、オスは生きものの基本本能欲を満たすことが出来ないのですから、自己の存在証明が出来ないのです。
ではどうしたら、オスは自己の存在証明が出来るか。
子供から、“あんたがわたしの親や!”と信じてもらうことでしか、自己の存在証明をするしか方法はないのです。
そこで、世襲・相続制度が誕生したのです。
自分の持っているものを子供に譲ることによって、子供から親の証明書を貰うことで、自己の存在証明が間接的ながら出来るのです。
メスの母親にとって、そんな七面倒臭いことをする必要性はありませんから、メス社会になれば、世襲・相続制度はなくなります。
つまり、
「現実(実在)の世界」のメス社会では、世襲・相続制度は不要なのです。
「映像の世界」のオス社会だから、世襲・相続制度が必要なのです。
その結果、
オス社会の人間社会だけに、差別・不条理・戦争が発生したのです。