第三百三十八話 みんな逆さま人間

二重の錯覚をしているわたしたち人間は、「生」と「死」の問題を逆さまに捉えてきた。
自然社会、つまり、地球との一体感で生きている他の生きものは本音だけで生きています。
わたしたち人間だけが、本音と建前の分裂症で生きています。
新田哲学では、「在り方」と「考え方」と言っています。
「在り方」が本音で、「考え方」が建前です。
「考える葦である」知性を持った人間の所以です。
本音と建前の分裂症の生き方こそ、二重の錯覚の正体に外なりません。
わたしたち分裂症の人間は、自分のやりたい事、つまり、本音と、自分のしていること、つまり、建前とが常に正反対なのです。
だから、
思った通りの人生を送れるはずがありません。
わたしたち人間だけが、悩みや四苦八苦、挙句の果ての、死の恐怖の一生を送る羽目に陥っている原因は、自分の思った通りの人生を100%送れないからです。
本音では、金持ちになりたいくせに、建前では、貧乏になることばかりしていて、更に最悪なのは、そのことに本人が気づいていないのです。
まさに、二重の錯覚です。
まさに、自覚症状の無い音痴です。
すべての人間が本音では金持ちになりたいのに、世の中に、金持ちが少なくて、貧乏が多いのが、そのことを証明しています。
金持ちになりたいが貧乏になりたくない、と思っていない人間など、真に悟っている人間以外誰一人いないからです。
みなさんが、貧乏になりたくて今の生き方をしていると思っているなら、その生き方は正解です。
みなさんは、金持ちになりたくて今の生き方をしていると思っているなら、その生き方は間違っています。
それなら、みんなが金持ちになっているはずです。
イエス・キリストが今わの際に言った有名な言葉が、見事に二重錯覚の人間のことを言い当てています。
“神よ!彼らは(人間は)自分が何をしているのかわかっていないのです!”
わたしたち(どぶねずみ)人間のしていることは、すべて、逆さまなのです。
成熟した知性なら、そのことが理解できるはずです。