第三百六十三話 忘れてしまった死期

死期がわからない死を迎えるのは、わたしたち人間だけです。
“自分も必ずいつか死ぬ”という「死の概念」を持っているからです。
「死の観念」を持っている他の生きものは、死期を知っているのです。
彼らは四季を知っているからです。
「時間の観念」を持っていなければ四季を知ることはできません。
わたしたち人間は、「時間の概念」は持っていますが、「時間の観念」は昔に忘れてしまいました。
「時間の観念」とは、朝・昼・夜・春・夏・秋・冬の感覚のことです。
「時間の概念」とは、1息前、1息後、1瞬前、1瞬後、1秒前、1秒後、1分前、1分後、1時間前、1時間後、1日前、1日後、1週間前、1週間後、1ヶ月前、1ヶ月後、1年前、1年後、1生前、1生後、つまり、“過去・(現在)・未来”という考え方です。
「時間の観念」を持っている他の生きものは、朝・昼・夜・春・夏・秋・冬という四季を体で知っています。
四季を知っている者は死季を知っており死期を知っています。
四季=死季=死期なのです。
わたしたち人間も本来は「時間の観念」を持っています。
わたしたち人間も本来は「死の観念」を持っています。
従って、
わたしたち人間も本来は死期を知っています。
忘れてしまっただけです。