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第七章 イエスと聖徳太子の対面 デビルは久しぶりにマイヤーと高野山で会った。 「デビル様。お顔の表情が穏やかになられました。心の平和を満喫されているのでしょう。それはよいことです」 本当に嬉しそうな顔をしてマイヤーはデビルに言った。 「ここしばらくは、心穏やかな日々を過ごしていました。しかし、この頃また心が騒ぐのです。ただ以前のような真っ赤な火が猛烈な勢いで燃えている感じではないのです」 「それは、またどうしたことでしょうか?」 マイヤーはデビルの言っていることを計りかねていた。 「イエスという人は、本当はどういう人物だったのでしょうか、お聞かせ願えませんか」 デビルはマイヤーに頭を下げた。 「やめてください、デビル様。わたしはデビル様の為されることを無条件でお助けするのが役目だと思っております」 マイヤーは、そう言いながら、喋りはじめた。 「イエスキリストというお方は、ギリシャ語で救世主という意味です。新約聖書がギリシャ語で書かれたためにイエスキリストと呼ばれるようになりましたが、古代ヘブライ語ではインマニュエルと呼ばれていました。あの方の立派なところは、現代人、いや当時の人たちにさえ理解されていません。あの方の一番偉大な点は正義の勇者だということです。いつの世もそうですが、凡人というものは正しいことを正しいと言えず、行動できない人間のことを言い、ほとんどの人間がそうです。あのお方の偉大なところは正しいと思ったことは如何なる権力者の前でもはっきり正しいといい、その正しいことを実践されてきた点であります。その結果が苛烈な十字架刑であったのですが、あの方は復活なされると申されました。ここが一番立派なところだと言えるのではないでしょうか。教えておられることは、そんなに難しいことではないのです。それを実践することが難しいのです。それを、身を以って体現なされた。この凄さは、なかなか真似の出来るものではありません。そういう点では、歴史上最も勇気のある方だったと言えるのではないでしょうか」 デビルはマイヤーの言っていることは、ほとんど認識していた。 「わたしの知りたいことはイエスと聖徳太子との関係なのです」 「聖徳太子との関係と申されますと?」 マイヤーは聞きなおした。 「この高野山に落ち着いてから、わたしは聖徳太子こそイエスの生まれ代わりではないかと思ったのです。仮にそうだとして、西の果てのイエスが東の果ての聖徳太子にどうして生れ代わったのでしょうか。それを知りたくなったのです。そして更に聖徳太子が空海に生まれ代わったのでは・・・・」 デビルの話に、マイヤーは顔色が変わった。 「そうすると空海もイエスの生まれ代わりだと?」 「ええ、そう思えてならないのです」 デビルは、最近起こった胸の囁きのことをマイヤーに話した。 「結局、日本という国はイエスの教えが一番正確に伝えられた国で、聖徳太子や空海がそれを実行した人々だとおっしゃるのですね?」 マイヤーは何故日本を第二の故郷のように思っているのか、以前からデビルは知りたかった。 マイヤーはデビルの質問に冷静に答えた。 「わたしは、れっきとした古代ヘブライ人の血を引いたユダヤ人です。わたしの祖先は、紀元前6世紀にネブカドネザル王のバビロニアに滅ぼされ、バビロンに奴隷として連れて行かれました。そしてその後アケメネス朝ペルシャのキュロス二世によってバビロニアが滅ぼされた時にイェルサレムに帰らずペルシャに留まりました。その後、一族の一部が、隣のアフガニスタンからインド、中国を経由して、朝鮮半島の高句麗から日本の丹後半島にやってきたのです。だから、今でもわたしの祖先の支族が、この日本におり、丹後から京都にやって来た頃に聖徳太子に出会うのです。その後、播州から四国に移り、佐伯氏となるのです、空海はその佐伯氏出身なのです。だからわたしは空海とは縁者の関係になります」 初めて、マイヤーからその出自を聞いたデビルは、イエスと聖徳太子、空海と繋がる魂が今、ここで再会したような気がした。 |