Chapter 31 夢は虚時間での出来事

あなたは、毎日夢を見ています。
毎晩ではなく、毎日見ていることに気がつかれているでしょうか。
英語の表現で24hours a day,7days a week と言った方が適切でしょうか、一日24時間、1週間7日、つまり四六時中と日本語では言うのでしょうが、寝ても醒めても夢を見ているのが実相であるのです。
『いや、確かに眠っている間に夢は見ているが、目が醒めたら夢は忘却の彼方に行ってしまっている』と言われるかも知れませんが、それは間違いであります。
あなたが宇宙と一体になって生きている世界は、夢の中の世界であって、目(厳密には肉体)が醒めている世界こそ幻想の世界であるのです。
現代宇宙論、すなわち一般相対性理論と量子論を矛盾なく合わせた統一理論上では、わたしは、虚時間こそが時空の世界の時間の要因として採用すべきだと考えています。
我々人間が定義した心理的な時間の矢である実時間は宇宙の果ての向こう側、すなわち特異点を超えた絶対宇宙では全く無意味なものになってしまうからです。
我々人間には踏み込むことの出来ない絶対宇宙であっても、我々地球に住む人間も絶対宇宙の一員であることは間違いのない事実であります。
それを認めない限り、我々人間は実存し得ないのです。
たとえば、あなたが生れてから一度も日本以外の地へ行ったことがないまま死んだとしても、あなたの世界はあなたの知っている世界しか無いわけですが、世界は厳然とあるし、地球も、太陽系惑星も、銀河も、厳然と存在しているわけです。
あなたにとっての世界は、あなたの知っている世界。しかし実存する世界は絶対宇宙なのです。
これはちょうどあなたの肉体が醒めている世界があなたの世界であって、四六時中、夢を見ている世界が、あなたが知っていなくても実存する絶対宇宙の世界なのです。
そしてその絶対宇宙という時空の世界では、虚時間が時間の要因であるのです。
従って、夢の中での心理的な時間の矢は、過去から未来に前進するだけでなく、未来から過去へ後退することもあるし、また時間が静止していることもあるのです。
また空間(事象と言った方が適切でしょう)も、夢の中では絶対宇宙の空間であるからこそ、あなたが行ったことの無い世界、知らない世界も、出てくるわけです。
これは一体何を意味しているのか。
我々人間は、太古の時代から死を怖れ、死後の世界を模索してきました。
そして、神というものを創造し、いろいろな宗教を今でも造り続けておるのですが、これは、結局の処、我々の知らない世界を知りたいが故の方便であったのではないでしょうか。
それなら、簡単なことで、夢の世界を意識して見ていれば、神頼みをしなくても、宗教に頼らなくても、知ることが出来るのです。
それでは、どうしたら夢の世界を意識して見ることが出来るのでしょうか。
まず一番重要なことは、一日中夢を見ていることを体で知ることです。
肉体が醒めると、夢の世界が相対的に薄れていって認識し難くなる。
夜の空で、月や星を見ることは簡単です。
昼間に月や星を見ることは、極めて難しいことです。
しかし、昼間には月や星がどこか見えない処へ行ってしまったわけではありません。夜に見えた処に厳然と在るのですが、太陽の光が強くて月や星の輝きを消してしまっているから見えないだけのことなのです。
同じように、昼間の夢は、あなたの意識が強くて消してしまっているだけで、夢がなくなったわけではないのです。
深い井戸の中に入って空を見上げますと、昼間でも、あなたは夜と同じように月や星を見ることができます。
同じように、あなたの意識を深い井戸の中に置いてやると、あなたが夜眠っている時に見ている夢の世界の続きをはっきりと見ることができるのです。
そして絶対宇宙の世界にいる自分を眺めることができるのです。
あなたの意識を深い井戸の中に置いてやることが重要なことになる、これこそが瞑想の意義なのです。
神や宗教では、あなたの意識を深い井戸の中に置くことはできません。
多くの他人と一緒に深い井戸に入ることは不可能です。
仮に入ることが出来たとしても、それは太陽の光を遮断できるような狭いスペースにはなり得ませんので、月や星を見ることはできません。
そして、最も重要なことは、肉体が醒めている時にも引き続き夢の世界を意識して見ることです。
そうすれば、時間の実相が、水平線的心理的な時間の矢ではなく、垂直かつ全方位に向かっている虚時間であることが解ってくるのです。