Chapter 34 垂直方向の時間の矢

これまで時空の宇宙世界は、水平線的時間の矢つまり方向は、過去から未来へと進む一方通行で、人間の心理的なものが働いている、とお話してきました。
そして、その原点に、秩序ある状態から無秩序の状態へ移るエントロピーが影響しているのだとも申してきました。
更に、宇宙の始まりであるビッグバン以来、宇宙は常に時間の経過と共に膨張し続けている。
そして、これら三つの時間の矢は、線的動きをするが故に、果てのないものとなってしまっていたのです。
しかし、それでは果ての向こうはどうなっているのかという疑問が当然湧き、それを説明できない自己矛盾状態に陥っていたのです。
最近の研究の結果、「果ての向こうには何がある?」という、鼬(いたち)ごっこの問題に終止符が打たれ、線的動きでは説明できない問題を、円的運動であれば、果ての向こうについても説明できるようになってきたのです。
つまり、ニュートン力学を基礎に考えられてきた線的運動では始まりも終わりも有り得ない絶対時間と空間が前提になり、時間の始まりについての解答は出せないでいたのです。
ところが、アインシュタインが相対性理論で、時間と空間についての新しい見解を発表した結果、時空は重力によって曲げられて、線的動きにならず、円的動きになっていることが解ったわけです。
円的動きであれば、始まった処に又戻ってくるのですから、これは永遠に続けることができる、いわゆる無限状態が、有限状態の中で表わすことができるようになってきたわけです。
その最大の理由は、時間の矢を水平展開せず、垂直展開し、かつ360度方向をすべてカバーできるようになった虚時間の概念が誕生したからであります。
従来の時間の概念では、時間は前後(厳密には前だけ)に進む、という表現が適切でありましたが、これが虚時間の概念では、上下に昇降する、つまり高い、低いという表現になるわけです。
時間が長い、短いではなく、高い、低いになる。
そして、高い、低いと言っても、360度の全方位で見ると、90度毎に変位するだけで、180度変位すると、高い、低いが逆転してしまうわけです。
そうしますと、高い、低い、という表現も適切でなくなるわけです。
つまり、どのような状態であっても、長い、短い、高い、低いという区分けはなくなり、どのような状態でも、ただ存在するというだけになってしまうのです。
これこそ、絶対宇宙まで、一貫して説明のつく時間の概念になるのです。
平たく言えば、どこかの全体宇宙は、我々の全体宇宙の90度方角の違う処で、近くにある。
また別の星雲は、我々の銀河の180度方角の違う、遠い処にある。
アンドロメダ星雲が、実は我々の銀河の180度方角が違う、かなり近い処に位置する星雲であるから、あのようなはっきりした渦巻き星雲が見える。
こういった表現に変わるわけです。
これを、我々人間世界にまで、縮小していきますとどうなるでしょうか。
あの人は立派な人だ。この人は不幸せな人だ。
こういった表現はなくなってしまって、
あの人はこちらの方角にいて、かなり遠い処にいる。この人はあちらの方角にいて、結構近い処にいる。
こういった表現になってしまうわけです。
従来の価値観とは全く違ったものになってしまうのです。
こういった基準に慣れるには、従来の時間の概念を捨てなければなりません。
それが、虚時間の時空の世界、つまり垂直の時間の矢の世界であるのです。