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Chapter 43 人間の時間の始まり 人間ひとりひとりにとっての時間の始まりは、厳密に言いますと、母親が受精した時であります。 母親の胎内から放り出されてオギャーと産まれ落ちた瞬間は空間の始まりであって、宇宙だと、無限大の密度を持った火の玉が大爆発を起こすビッグバンが時間の始まりで、そのあと空間の始まりが起こり、初めて時空の世界が成立するのです。 このビッグバンが起きた時に宇宙にあった、たった一つの力(法則と言ってもいいでしょう)が四つの力に枝分れしたのです。 現在、我々の宇宙には、基本的に四つの力が存在します。 一つはニュートンの万有引力で有名な重力です。 もう一つは電磁気の力、一般に電気の力です。 ここまでは、みなさん誰でもご存知のものです。 更にあと二つは「強い力」と「弱い力」と言うもので、これは量子力学が扱う素粒子の世界の話しなので、説明を省略します。 とにかく、ビッグバンによって宇宙つまり時空の世界が誕生する前には、たった一つの力しかなかったのに、ビッグバンによって四つの力に分れたと理解しておいてください。 この枝分れの順序を説明してゆきますと、 まずビッグバンが起きて宇宙が誕生して、たった一つの力からまず重力が枝分れします。 その枝分れが、ビッグバンの10の44乗分の1秒後に起こりました。 そして10の36乗分の1秒後に「強い力」が枝分れします。 更に10の11乗分の1秒後に「弱い力」と「電気の力」」が枝分れしたことが、量子力学で分ったのです。 そしてこの四つの力が枝分れした時に、専門的には相転移と言って、要はビッグバンという爆発をした火の玉が、急激に膨張し始めたのです。その膨張の仕方からインフレーション現象と呼ばれるようになりますが、たったそんな短い時間の間に宇宙の大きさは百桁(百億倍の百億倍)も大きくなったのです。 そして、その時の宇宙の形がデコボコで、ちょうど地中からきのこがぼこぼこ生えてくるような形になりました。 そのデコボコのきのこがまさにベビーユニバースと言って、宇宙に、無限のきのこ−これをブラックホールの世界では、虫食い穴のような形をしていることからワームホールとも言う−が生まれました。 いま説明いたしましたのが、宇宙の誕生の瞬間であります。 これは、そっくりそのまま人間の誕生にも当てはめることができるのです。 オギャーと母親の胎内から産まれ落ちるのがちょうどベビーユニバースの誕生と同じであります。 その状態になるまで母親の胎内に生命を得て十月十日間います。 この状態が受精というビッグバンが起きてから四つの力に枝分れする期間なのです−宇宙では十月十日ではなく10の11乗分の1秒ですが−。 そして、その直後、相転移が起きてデコボコ宇宙のインフレーション現象が起きて、出産という形でベビー−宇宙ではベビーユニバースと言います−が産まれ落ちるのです。 従って、それぞれの人間における時間の始まりは、ビッグバンつまり母親の子宮(Womb Hole)で受精した時が始まりだといっていいでしょう。 ワームホール(Worm Hole)と何か関連性を感じてなりません。 |