Chapter 13 アナログとデジタル

量子力学での不確定性原理を、現代のコンピュータ世界流に申せば、すべてのものはアナログであり、またデジタルでもある。と表現したらいいでしょう。
現代社会は、ほとんどのものがアナログ式からデジタル式へと変わっています。
録音においても、録音テープ(カセットテープ)やCDからDCD(デジタルCD)に、録画においてもビデオテープからDVD(デジタルビデオディスク)に変わっていっています。
物理学的に表現しますと、アナログは波動であり、デジタルは粒子と言えるでしょう。
不確定性原理とは、すべてのものは、時には波動体になり、また別の時には粒子体になり、それを確定することが出来ないと言っているのです。
以前に、光はなぜ透明ガラスを透過するのに、カーテンでは遮断されるのか説明しました。
光が光子という粒子体であれば、カーテンをも透過出来るほど微細であるはずです。
しかし光が波動体であれば遮断されるでしょう。
すなわち、わたしがここで言いたいのは、すべてのものは、アナログ的でもあり、かつデジタル的でもあるということであります。
人間の肉体も、物質で構成されているのですから、ミクロで見れば素粒子(陽子や中性子)でできているわけです。
従って、不確定性原理が厳然と働いているのです。
Physicalな面とMentalな面がありますが、Physicalな面がアナログであり、メンタルな面がデジタルであると理解されたらいいでしょう。
人間の想いというものは、まさにデジタル的であります。
すなわち、常に点から点へと移動−厳密にはジャンプ−して、点と次の点との間には何ら相関関係はありません。
従って、人間の想い、思考は、すべて連想であるわけです。
しかし、その想いの点一つ一つがものすごい速度でジャンプするものですから、あたかも繋がっているように錯覚するのです。
縄に火を点けて、その燃えている縄の先をぐるぐる回すと、その点は断続的であるにも拘らず、円に見えます。
それこそまさに、人間の思考・心であるのです。
また、回る、つまり円運動するには中心が固定されていないとできません。
「空間と運動」でお話しました、空間は止まっている、そしてその周りを時間が運動している。四次元という時空の世界とは空間という三次元が中心にあり、その周りを果てしなく回転運動しているのが時間であると言えるでしょう。
空間がアナログであり、時間がデジタルであると言ってもいいでしょう。
それが混在しているのが時空の世界であり、我々人間も、その中で存在しているものであります。
従って、人間も不確定性原理に対応しているのであり、悟りとは、どのような時がアナログ的であり、またデジタル的であるかを認識出来る状態になったことだと言えます。
逆に言えば、我々凡夫は、その認識力が欠落しているものだと言えるでしょう。
釈尊が、「人間はすべてそのままで悟りの状態にある。ただそれを知らないだけである」と喝破したのは、その認識力の欠落を指摘したのです。
肉体という空間はアナログ的であり、心という時間はデジタル的である。そして、肉体が中心の軸でしっかりと固定されることによって、心がその周りを回転運動する、しかもどんどん回転が速くなっていくことができる。
そして、小宇宙と大宇宙が一体になれるのです。