Chapter 16 苦しい人生

楽しい人生とは、この世に生まれてから死ぬまでの間に、運命という名でいろいろな種類の道がある。その中で最善な選択をすることで、ゴールに到達する確率をより高くすることであり、その確率を高めてくれるのが好奇心というエネルギーであります。
そして好奇心というエネルギーの欠如が、不安という使用不可のエントロピーを生むのです。
従って、苦しい人生を送っている人というのは、エントロピーを次から次へと生む悪循環に陥っていきます。
「あの人は、薄幸な人生で気の毒だ」と思われる人は、常にこの悪循環に陥っており、そのことに気がついていないのです。
「この世の中は、決して平等ではない。恵まれた人と恵まれない人が必ずいる」と言う人は、この悪循環に陥る寸前の状態であることを重々認識しておくべきであります。
一方、楽しい人生を送っている人も、好奇心という使用可能のエネルギーを持っているわけですが、このエネルギーは無尽蔵にあるわけではないことを知っておかなければなりません。
このエネルギーも使用すればエントロピーになるわけですから、常に楽しい人生を送れるわけではないのです。
この世的成功を収めた人達が、最後に晩節を汚すことが多いのは、せっかく好奇心−この世的成功を収めた人にとっては、このエネルギーを好奇心と捉えずに、夢とか大志だと捉えていますが−のエネルギーを持っていても、それは再使用出来ないエネルギーであることを知らないからであります。
楽しい人生を送っていても、ひとつ間違えばすぐに苦しい人生になる。そして苦しい人生を送っている人が、その悪循環を断ち切って楽しい人生に転換するには、並々ならぬ正のエネルギーを自力で生み出さなければなりません。
まさに、天国に入るにはパスポートが要るが、地獄の入り口はフリーパスであるのがルールであるようです。
そう致しますと、人間一般社会においての、この世的成功者は地獄の門の入り口に列を成して並んでおることを知らなければなりません。
好奇心というエネルギーは創造的であるのが、その本質でありますが、この世的成功を望む想いは、破壊的性格を、その中に孕んでいるのです。
何故なら、この世的成功は必ずこの世的不成功を生むからで、他の者を競争相手に妬みや憎しみという破壊的エネルギーを抱えているのです。
本当に、好奇心という創造的エネルギーを持っている人は、決してこの世的成功を求めません。
それは地獄の門への入り口であることを知っているからです。
人生において、不確定性原理の経路和の確率とは、苦しい人生が基本になっていることを忘れないでください。
すべては不確定で、確率を導き出すしかないのが宇宙の法則であるなら、確かに、未知なものに対する不安が必ず生じるわけで、それが苦しい人生であるのです。
しかし、その中からより確率の高い道を選び、進むことが、また楽しい人生を送る唯一の道であるのです。
やはり質の良いものは稀少で、量の多いものは粗悪である摂理は厳然としてあるようです。