Chapter 32 脳と引力

人類がどうして二本足になったのでしょうか。
理由はいろいろ有りますが、まず最大の理由は外敵から身を守る為でしょう。
人類という動物は腕力的には他の動物より極めて弱い生き物であります。
足や手の爪が特別頑丈にできているわけでもなし、体が特別に大きいわけでもない、走っても特別速いわけでもない。
鳥のように視力が特別良いこともない、他の哺乳類のように嗅覚が優れているわけでもない。
こんなに、身を守るための器官の中で際立って優れたものを持っていない生き物も珍しい。
ところが、今や人類に対抗出来る動物は一つもいないのが現状であります。
これは如何なる理由でしょうか。
答えは二本足動物になったからであります。
弱さ故、常に身の危険を事前に察知しなければならない。その為には出来るだけ遠くまで見通す必要がある。
その為に立つようになったのです。
しかし、その程度のことなら他の動物でもやっておるのです。
熊が相手を威嚇する時に立ちあがるのもその一つであるし、どこの国の猿かリスか忘れましたが、常に立っては遠くを眺めて警戒している動物がいました。
人間と同じことをやっておるわけです。
ところが、人類は完全に二本足動物になった。その点が今日の人類が史上最強の生物になった理由であります。
では史上最強の生物の武器は何でしょうか。
そうです、考えることが出来る能力、知力が最大の強力な武器になったのです。
知力を得たことと、二本足動物に変身したことに相関関係があったのです。
類人猿のように普段歩く時は四本足で歩いていると、他の動物と同じで、頭の先から尻尾の先まで、同じ重力が掛かるのが、二本足になると、足下と頭では重力の掛かる強さが違ってきます。
頭に掛かる重力が最も軽い。
これが知力を得た原因なのです。
地球上で生きているものでも、地球の引力が最も影響力を持つのですが、それ以外にも月や太陽の引力の影響も受けています。
しかし、地球の引力、つまり重力の影響が軽くなった結果、人類の脳に異変が起きたのです。
生き物が、外部環境からインプットされた情報を処理して、反応する器官、いわば現代流に言えば、コンピュータのCPUに当たるのが大脳であるのですが、その大脳の機能がアップしたのです。
コンピュータ流に言えば、単一処理するのがコンピュータのCPUの原理でありますが、それをパラレル処理(平行処理)出来るスーパーコンピュータのCPUを持ったのが人類であるわけです。
生理学的に申しますと、大脳の一番外側にある大脳皮質というのがあるのですが、人間以外の動物は−一部霊長類に例外的にある−一重の大脳皮質であるのが、人類だけは二重の大脳皮質で構成されているのです。
この一番外側にある大脳皮質−新皮質と呼ばれます−が知力の源泉であるのです。
この皮質ができたのが、地球の引力、つまり重力の軽減効果の結果であるのです。
しかし、人間といえども一日24時間立っているわけではありません。
眠っている時は、横になっています。
その間は、重力を強く受けているのです。だから脳の働きが鈍って逆に眠ることが出来るのです。
従って、脳の機能アップだけを考えれば一日24時間眠っていない方がいいはずであります。
人間に限らず、すべての生物は完全に重力から解放されたら、本来一生眠らなくても生きていけるように創られているようです。
「宇宙旅行している宇宙飛行士は無重力状態の中でも眠っているではないか」
と反論される方がいらっしゃるとは思いますが、あれは完全無重力状態ではなくて、重力がもの凄く弱くなっているだけで、重力は依然あるのです。
宇宙に無限に近い星が存在しているのですから、それらの星から微細ながらも引力の波が伝わって来ているのです。
問題は脳の働きと引力の関係を論じておるのですが、引力の影響が少なくなればなるほど、脳の働きは活発になるということであります。
従って、肉体的健康の問題はちょっと横に置きますと、出来るだけ睡眠を少なくする方が脳の働きは良くなるわけです。
しかも、昼と夜という活動と非活動の期間の合間のニュートラルポイントである朝と夕方は、地球のみならず、月や太陽の引力の影響が変化する時でありますから、その時に体を横にしていると、すべての引力の影響を体全体に受けることになります。
眠るのは仕方ないにしても、この時間帯だけは、絶対に横になってはならない、ましてや惰眠を貪っておっては、お金をどぶに捨てている以上の暴挙であること、重々肝に銘じておいて頂きたいと思います。