一期一会  未(ひつじ)四十二の日

ほとけにも なりかたまるは いらぬもの
石仏らを 見るにつけても

悟りを獲得する欲望を持つと、人間は硬くなります。
物質的欲望の間は、肉体は硬くなっても、精神は硬くなりません。
却って精神が柔らかくなる場合もあるのです。
ある程度、物質的欲望を充たしてやると、安心感から精神は柔らかくなるものなのです。
マズローという心理学者の分析では、人間の欲望は5段階に分かれていて、段階的に上がっていくようです。
Fucking(性欲)・Feeding(食欲)・Flocking(群衆欲)・Fighting(征服欲)・Freeing(解放欲)の5つで、5Fと呼ばれています。
学術的に表現すると、
(1) 生理的欲求
(2) 安全の欲求
(3) 所属と愛の欲求
(4) 承認の欲求
(5) 自己実現の欲求
となり、一般の人間は第三段階の所属欲つまり自己の存在感の他者への欲求までは、必ずあります。
一方、この世的成功を収めた人間につきものなのが、第四段階の承認の欲求、つまり名誉欲、権力欲がそうです。
そして最後に、悟りへの欲求であります。
本来、第五段階の欲求はFreeing(解放欲)がベースでありますが、悟りの欲が余りにも強くなり過ぎると、自分を神レベルと相当するものだと思い込んでしまうのです。
日本には、自分が神だと思っている宗教団体の教祖を筆頭に、マルチ商法で詐欺まがいの商売をしている幹部連中は、みんなこの自己実現欲に振り回されているのです。
正に、

ほとけにも なりかたまるは いらぬもの

のいらぬものであるのです。
それならまだ、生理的欲求に振り回されている、

石仏らを 見るにつけても

の方がずっとましであります。