第六章 小汚い奴らの整理

先代ミノ吉の時代に 余りにも急ぎ働きに染まっている子ねずみが増え過ぎた

そこへ ミノ吉の性格が猜疑心が強く ねずみ見知りが激しく 権力欲が旺盛だった

そういった性格と見てくれから マントヒヒのミノと世間では呼ばれていた

そのくせ 優柔不断で 嫌なことは 子ねずみに押しつけ まずい状況になると

責任を他のねずみになすりつける

このミノ吉の上前をはねるほど 小汚いのがマサ吉だ

責任を自分の子飼いのねずみにすぐ なすりつける

俺はそんなことは知らなかった あの野郎が勝手にやったんだ

これがマサ吉の お決まりの文句だ

てめえが面倒見てるなら 子ねずみの不始末を自分が始末してやるのが当たりめえじゃねえか

それを てめえの不始末の責任を 子ねずみに押しつけやがる

ほとんどの子ねずみが そうやって マサ吉から離れていった

ミノ吉は 親分だったから お務めの分け前で その埋めあわせをしてやれる

だから 何とか子ねずみもついてきた

マサ吉は それをするだけの甲斐性がない だからみんな最後は見離していく

それを何とか止めたいものだから 小汚い手を使ってでも甲斐性をつけようとする

どぶねずみの世間といえども 最後は信用だ そんなことで信用はできない

てめえでは 頭がめっぽう 切れると思って うまく立ち回っていやがるつもりだろうが

いくら頭を隠していやがるつもりでも 汚ねえ ケツが丸見えじゃねえか

他の組の親分連中は お見通しだ 知らぬはてめえだけ 憐れな野郎だ

離れていった 子ねずみ連中はそう言って陰口を叩いていた

ミノ吉も 親分の間は そういったことは身内でも世間でも 出なかったが 死んだ途端に

あの野郎は てめえの言ったことを すぐに 俺は そんなこと言ったおぼえは ねえと言いやがる癖があった

とんでもねえ野郎だ と陰口を叩かれ始めた

そしてマントヒヒのミノから 見猿・言わ猿・聞か猿のミノと 巷で今は言われている

えてこのマサと 並び称されて 今では世間の笑いものになっている

ヨシ吉は こういった 小汚い奴らを何とか整理しないと まっとうな お務めが出来ない

これから じっくりと手をつけていこうと思っているが こういったことは一気でないと

やれるものではない 必ず 敵も反撃してくるからだ

勢いでやってしまうしか方法はない

そこがヨシ吉には経験がない 修羅場を踏んでいない

そこへ 盗人取り締まりの鬼のヘイ吉が虎視淡々と狙っている

敵は いよいよとなれば 寝返って ヘイ吉にたれ込みもしかねない

ここが ヨシ吉の正念場だ

こういった正念場で ねずみの格が出る

正攻法でいくのが一番だ 小手先を労すればコメ吉やマサ吉の二の舞になる

果たして ヨシ吉の まっとうな 盗人稼業への変身が 出来るか難しい局面だ