|
Chapter 13 夢芝居の一瞥 毎朝、眠りから醒める直前に観る夢は、正夢が多いことに気づいたことはないでしょうか。 四六時中夢を観ているのが、実体だと申しているのですから、眠っている間も、目が醒めている間も常に夢を観ているのですが、負夢を観て精神の浄化をしている時もあれば、正夢を観て、現実の世界より2階も高い処から現実の世界を見下ろしている場合もあり、白昼夢を観て現実の世界と完全にラップした感覚でいる場合もあるわけです。 負夢を観ている場合は、五階の観客席からスクリーンに上映されている無制限連続バラバラ1本立て映画を観ているのです。 正夢を観ている場合は、三階の席で無制限連続バラバラ1本立て映画を観ている別の自分を、五階の席から眺めて別の自分の心のうごめきを観察して、それに呼応しては上映されている無制限連続バラバラ1本立て映画を観ているのです。 白昼夢は、五階の席から三階の席に下りて来て、別の自分と一緒に、スクリーンに上映されている無制限連続バラバラ1本立て映画を観ているのです。すなわち複数の自分が同じ映画を観ているのですから分裂症になるのも当り前でしょう。 現実の世界と思っているのが殆どですが、時には本当の自分が三階で映画を観て、それが白昼夢になったりしているのです。観ている映画は同じであるのです。 五階と三階を往来しているのが本当の自分ということになります。 三階にいるのが別の自分ということになり、別の自分は人によっては一人の場合、二人の場合、数人の場合、時には数十人の場合になることもあるのです。 五階にいるのは、唯一無二の本当の自分です。 従って、本日の命題である四階の話をする前に、五階にいる本当の自分を見つけていない方々は、ずっと三階にいると思い込んでいるのですから−実際はすべての方々が五階と三階を往来しているのですが肝心の本人が気づいていないだけです−四階を素通りしてしまっていることを、よく認識してください。 そうでないと、これからの話を理解することはできません。 経験が無いのですから、先ず知識から入っていくしか無いのに、その知識すら受け入れる態勢になっていなければ、わたしが説明しても無駄になります。 では、わたしと一緒に五階から四階に下りましょう。 四階の観客席には、五階と同じで一つの席しかありませんので、ここはあなたの劇場ですから、あなたが座ってください。わたしは席へ引率する係りです。 さあ席に就いたら、そこから無制限連続バラバラ1本立て映画を観てください。 どんな映画が見えるでしょうか。 やはりバラバラ1本立て映画でしょうか。 そうではない筈です。 映画の中に登場してくる人物も光景も、映画を観ている自分とまるで同化しているようで、正に観客と映画が一体であるかのように感じるでしょう。 更に、映画の内容も、ストーリーがバラバラではなくて一貫性があり、且つ観ている自分も楽しくて仕方が無いものです。 映画と自分が一体になっている感覚になっています。 ところが、わたしならあなたをその席にずっといるように勧めますが、五階と三階を往き来している別のあなたが、「何をこんなところで遊んでいるんだ、これから目が醒めるなら早く三階に下りて来なさい。これから眠りに就くなら五階に早く上がって来なさい」と、せっかく四階で楽しい映画を観ていたのに呼びに来るのです。 席に就くなら、一瞬でも楽しい映画を一瞥出来るのですが、四階を通る時に、「ここは素通りすればいいんだ!」と言われて、四階の存在すら未だ知らないあなたであるのです。 今日は、別の自分よりもわたしの言うことを聞いて、四階のあなたの為に用意してくれてあった席にやっと座ることが出来たのです。 しかし、あなたは思う。 『もうじき朝がやって来る。早く三階に行かなければ』 『もう眠る時間だ。早く五階に上がらなければ』 実は三階も五階も、それは幻想だったのです。 最初から四階しか、あなたの座る席はなかったのです。 それを、本当の席に座って一瞬でも映画を観れば、それは無制限連続バラバラ1本立て映画ではなく、あなたも加わっての実に見事な夢のような芝居−これを本当の夢芝居と言うのです−の舞台であったことを知るのです。 一度知れば、もうあなたは三階にも五階にも行かないでしょう。 だから、一刻も早く夢芝居の一瞥を経験してください。 |