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Chapter 5 悪夢 負夢が精神の浄化作用に効果を発揮することは既述した通りで、特に心の浄化作用に大きな効果を有します。 心というものは、網膜というスクリーンに写った映像を観た観客の主観です。 「よかった」「嬉しかった」「悲しかった」・・・・と言った喜怒哀楽を基にした感情です。 網膜に写った映像は、先ず大脳古皮質に伝達され録画若しくは再生されます。ここまでは、人間だけではなく、他の動物も同じメカニズムなのです。 再生が、眠っている時に夢を観ることに外ならないことは、既に説明した通りです。 ところが人間だけには、大脳古皮質の外側にもう一枚大脳新皮質があります。 動物の場合の感情は、映像情報を大脳古皮質から心臓−臓器としての心臓ではなく、感情を司るハートとしての心臓−に伝達されると、自然の法則−宇宙の法則と言ってもいいでしょうが−に則して、「嬉しい」「悲しい」・・・と言った感情に変化します。 これを「心」と言うのです。 従って、生物はすべて「心」を持っているのです。 ところが、人間だけにある大脳新皮質は、コンピユータシステムで言えば、外部記憶装置であって、生来の内部記憶装置である大脳古皮質と違って、外部からの記憶情報を蓄積しているところで、いわゆる知性と称せられているものを蓄えているのです。 心の中心であるハートに映像情報が伝達される場合、人間だけは、大脳古皮質から大脳新皮質を通ってハートに行くために、知性という門をくぐって行かなければなりません。 知性は、大脳古皮質から伝達されて来た映像情報に、「これは善い」「これは悪い」という善悪二元の篩をかけます。 そしてハートに送るから、ハートという心は、「嬉しい」「悲しい」という感情の前に、「嬉しいけれど、悪い」「悲しいけれど、善い」と言った理性と感情が交錯した状態に陥るのです。 これが、人間の複雑な「心」になるわけです。 外界からの情報が多く「心」にインプットされれば、それだけ、善悪二元の篩にかけられることが多くなるため、「心」の中は、ポジ情報でいっぱいになり、心の浄化作用をする夢も当然、ポジの夢、すなわち正夢が多くなるのです。 心臓のすぐ傍に、副腎という小さな臓器があります。 ホルモンを分泌する臓器ですが、ここからアドレナリンというホルモンが分泌されるのですが、このホルモンが、植物体中に存在する塩基物質でアルカロイドというニコチン・モルヒネ・コカイン・カフェインなどの基になる幻覚症状を起こす物質とよく似た働きをするのです。 このアドレナリンと同種のホルモンが大脳新皮質から分泌されるのですが、大脳新皮質が、ハートの「心」に影響を与えているのが、このホルモンなのです。 大脳新皮質が、「これは善い」とポジティブに判断すると、β−エンドルフィンという快感を与え、身体を活性化する有益なホルモンが分泌される。 大脳新皮質が、「これは悪い」とネガティブ判断をすると、ノルアドレナリンという有毒なホルモンを分泌し、これがアルカロイドと同じ働きをする。 一方、ハートの働きに応じて、副腎からアドレナリンが分泌されるため、ハートの動きが活発になると、アドレナリンが多く分泌されて、それが大脳新皮質から分泌された有益なホルモンとも、有害なホルモンとも反応するのです。 β−エンドルフィンと反応すれば、心の浄化作用をする負夢を観ます。 ノルアドレナリンと反応すれば、幻覚症状を起こし正夢を観ます。 それが正夢の中での悪夢であるのです。 悪夢は、正夢の中でしか起こりません。 外界情報すなわちポジ情報によって、ノルアドレナリンが大脳新皮質で分泌され、結果「心」が揺さぶられ、その影響を受けて副腎から分泌されるアドレナリンと反応して、悪夢を観る。 正夢が、目が醒めてからも引き摺るのは、悪夢であるからです。 わたしが、睡眠薬中毒に陥った時、夢を観られなくなる前段階で、観る夢は悪夢ばかりでした。 睡眠薬がノルアドレナリンの役割を果たしていたのです。 悪夢と正反対の楽しい夢もありますが、これも引き摺る正夢の一種です。 自然に見る、浄化作用の夢はβ−エンドルフィンの作用を受けて、現実離れした、訳のわからない負夢であり、目が醒めたら引き摺ることはなく、すぐに忘却の彼方に消えていくものです。 現実においても、同じ現象が起きていることは、後章にて説明致します。 |