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Chapter 223 夜明けは間もなくやって来る 科学が発達しても、わたしたち人間の精神のレベルは一向に向上している気配がありません。 科学の発達が、物質面において大いなる貢献をしてきたことを否定する人はいないでしょう。 人間の平均寿命が大きく伸びたのも医学と化学の発達によるものですが、医術は仁術と言われた時代は遠い昔の話になり、今では医術は算術になり果ててしまったようです。 教育者しかり、政治家しかり、役人しかり、宗教者しかり。 医者と同様に尊敬されるべき職業であったものが、今では汚い職業にまで落ちぶれ、一般から軽蔑の眼で見られるまでになってしまっては、国家そのものが落ちぶれるのは当然でしょう。 アメリカのカリフォルニア州知事選挙が行われ映画俳優が当選しましたが、その選挙の投票率が70数パーセントで史上最低だと報じられました。 ところが国会議員を選ぶ総選挙の投票率が40パーセントにも満たない日本は、民主主義国家とは到底言えないと国際社会では言われています。 "選挙に行かない60パーセント以上の人たちは一体どういう人たちなのか?" 海外でよく訊かれます。 "投票に行く人たちの大半は、立候補した政治家と利害が一致した人たちだけで、たとえば交通違反をしたのを政治家に陳情して無罪放免にしてもらう。税金を軽減してもらえるように税務所に頼んでもらう。政治家から依頼を受けた役人はこれで政治家に貸しを与えるといった具合に、後援団体や宗教団体という形での共生関係を構築している。従って日本の選挙では投票前に既に結果が出ていて、マスメディアでも開票100パーセントに程遠い状況で当選確実の報道をするという奇妙な現象が当たり前になってしまっている。この原因は投票に行かない人たちの数字さえ読めるという、民主政治最悪の状態だと言っていいわけで、それは政治に無関心ではなくて、政治家に対する嫌悪感が投票に行かない人たちの深層心理にあり、そういった人たちが60パーセントにまで昇る国なのです" わたしはそう答えます。 教育者に対する姿勢も同じだと言えるでしょう。 塾や幼稚園が流行り、学校の先生は塾に行くように学校で指導をする一方、自分たちは塾にアルバイトに行くのは、まさに政治家と役人の共生関係と同じであるわけです。 200以上ある世界の国家で、20兆円を超えるGDP(国民総生産)を誇る国の数は20数ヶ国という中で、年間20兆円の医療費という馬鹿げた我が国であるのも、医者と保険会社が結託した共生関係にあるからに外なりません。 聖徳太子の十七条憲法の一番の骨子は役人の在り方を説いており、聖徳太子の説く役人とおよそ程遠い現在の役人にとって耳が痛いから、聖徳太子の姿を一万円札から消したと言われる日本。 宗教法人が20数万あり、その総信者数が2億人を超えると言われる日本。 しかし、時代がいくら変わっても、人間の気持ちはそう変わるものではありません。 一人一人の人間としては、一億総拝金主義者に陥ってはいる日本でしょうが、金の匂いがプンプンする人間には潜在意識下で嫌悪感を抱くことを忘れてはいないからだと思うのです。 投票率を上げることが政治を変える方法だと以前は思っていましたが、鶏と卵の論理と同じで、尊敬できる政治家が登場すれば無関心を装う若い人たちも投票に行く筈です。 結局は、原点に戻るしかないのでしょう。 つまり政治家は聖職であると国民が思うような国になるしか道はない。 金儲けに都合のいい職業と思われている間は、政治家、役人、教育者、医者、宗教者といった職業が、聖職の地位に返り咲くことは有り得ないでしょう。 21世紀が、物質面のみならず精神面でも役に立つ、真の人間への追求に貢献する科学が登場する世紀だと確信しています。 今の真暗闇は、夜明けが間もなくやって来る前兆であるのです。 |