Chapter 348 21世紀の価値観

使命に目覚めると、生きている実感を常時味わうことができます。
使命に目覚めていないと、生きている実感を常時味わえません。
使命に目覚めているかどうかの違いは、生きている実感を味わうのが、常時か常時でないかの違いで、一見程度の問題のように錯覚してしまいそうですが、この違いはとてつもなく大きいのです。
常時ということは均一だということであって、常時でないということはバラバラだということです。
均一だと迷うことがありません。つまり結晶化しているわけです。
迷うということは結晶化していない状態をいうわけで、まさに光と暗闇の関係と同じで、暗闇とは光の不在であって、暗闇そのものが形あるものとして実在しているわけではないのです。
暗闇という状態に一点の明かりを灯すと暗闇は消失するのと同じように、迷いという状態つまり意識が結晶化していない状態−混沌状態と言ってもいいでしょう−に、使命という一点の明かりを灯すと悩みは消失するのです。
暗闇には程度の違いはありませんが、光には程度の違いがあります。
だから暗闇は絶対性のものであって、光は全体性のものであるわけです。
少し暗い、かなり暗い、ものすごく暗い、と言った表現はなくて、暗闇は暗闇です。
少し明るい、かなり明るい、ものすごく明るい、と言った表現はあります。
常時か常時でないかの違いは、光の程度の違いと同じであるわけですから、生きている実感というのは光の程度つまり使命の大小の問題であります。
つまり、わたしたち人間はすべて生きている限り、使命を持って生きているのであって、使命の大小という個人差があるだけです。
ところが使命に目覚めると、光の不在が明在になるわけで、暗闇の中に一点の明かりを灯した結果暗闇が消えてしまうように迷いも消えてしまうのです。
使命は生きている限り誰でも果たしているが、それだけでは暗闇から脱することはできない。
使命に目覚めてはじめて暗闇から脱することができる。
大きな使命を持っている人は、生きている実感を結構多く感じることは出来ますが、その使命に目覚めない限り常時実感することはできません。
小さな使命しか持っていない人は、生きている実感を殆ど感じることは出来ませんが、ひとたびその使命に目覚めれば常時実感することができます。
金力や権力、名誉や地位を得た人、即ちこの世的成功を収めた人たちは確かに大きな使命を背負っているので、使命に目覚めていなくても生きている実感を多く感じることができる、一見充実した人生のように勘違いする危険性があります。
まわりの人たちからも、ちやほやされるので、余計そう勘違いするのですが、この世的成功は所詮この世だけのものですから、必ず変化・変質の過程を経てまったく正反対の状態に行き着きます。
権力を得た人間は必ず権力を失う時がやってきます。
金力を得た人間は必ず金力を失う時がやってきます。
そこで生きている実感が途絶えてしまうわけで、結局の処、常時ではなくて、結構多かっただけに過ぎないことを思い知らされることになり、却ってその落差の大きさに愕然とすることになります。
必然、晩節を汚す人が、この世的成功を収めた人たちの中に多くなるのです。
問題は、使命の大小ではなくて、使命に目覚めているか、使命に目覚めた生き方をしているかどうかに掛っているのです。
この世的成功を収めた人たちほど、悩みや迷いが多くなる原因がここにあります。
本来、悩みや迷いを少なくするために、この世的成功を求めている筈なのですが、結果はますます悩みや迷いを多くしているのです。
貧乏で汲々とした生活から、ゆとりのある生活をしたいから、お金が欲しい筈なのに、ひとたびお金を持つと悩みや迷いはますます多くなり、ますますケチ臭くなる。
お金を持っている人の方がケチ臭くて、お金を持っていない人の方が金離れがいい人が多い。
お金にケチ臭いということは、お金に汲々としているからであり、金離れがいいということは、金に汲々としていないつまりゆとりのある生き方をしているわけです。
まさに本末転倒な現象が現実の世の中で起きていることに、わたしたちは気づいていない節がある。
金力だけに限らず、権力においても同じことが言えるでしょう。
結局の処、欲望に端を発するものはすべて同じであります。
21世紀は、科学がますます発展していくにつれて、本物と偽物の違いがますます顕著に出てくる時代です。
本物志向の生き方をしている人が芸術家(Artist)と言えるでしょう。
偽物志向の生き方をしている人が商売人(Businessman)と言えるでしょう。
画家・音楽家・作家・・・がArtistと言うのではありません。
政治家・役人・事業家・大会社社長や役員・・・がBusinessmanと言うのではありません。
本物志向の生き方をしているなら、政治家でも役人でも中小・零細企業の社長でもラーメン屋のおっさんでも、Artistです。
偽物志向の生き方をしているなら、画家でも音楽家でも作家でもBusinessmanです。
21世紀は、本物志向がArtistであり、偽物志向がBusinessmanの区分け方に変わっていくことは間違いないでしょう。
どちらがこの世的成功かどうかの判断は個人の主観に委ねるしかないのですが、悩みや迷いから解放されるには、生きている実感が常時であるか、常時でないかの問題に掛っているのであり、常時でない限り悩みや迷いから解放されることはないでしょう。