Chapter 407 激しい運動

「普段の運動」とは、わたしたちが生きていることに外ならないことを意味しています。
そして生きているとは、一日と一年という地球の固有性の中で縛られながら、一瞬つまり、『今、ここ』という三次元空間世界と、一生つまり、『今、ここ』の四次元時空間世界に、同時平行して存在しているわけです。
これは何を意味しているかと申しますと、一瞬と一生が存在の本質であり、運動の光と音(喧騒)の世界での存在の証が、「普段の運動」であるのに対し、一日と一年という存在の個別化認識が、「激しい運動」であると言えます。
ビッグバンによって、「無」である静止の暗闇と沈黙の宇宙から、「有」である運動の光と音(喧騒)の宇宙が誕生し、ビッグバン直後に、静止の暗闇と沈黙の宇宙では唯一の力しかなかったのが、「重力」「強い力」「電気の力」「弱い力」に枝分かれした結果、そこからすべては動きはじめ、光が誕生し、音が誕生し、混沌の喧騒の世界が誕生したのであります。
「重力」と「電気の力」は、わたしたちの日常生活に深く関わっているものでありますが、「強い力」と「弱い力」はピンときません。
すべて存在するものは、波動であり、粒子であると量子力学の世界では言われています。
つまり時には波として現れ、時には粒子として現れる。
光も波と粒子の両方だから、ガラスを通過しても、カーテンを通過することができないのです。
粒子は原子をもっと細かくしたもので、中性子と陽子で構成されています。
素粒子と言われるもので、原子核は中性子と陽子という素粒子がくっついてできています。
この中性子と陽子をくっつけているのが、「強い力」というものです。
つまり原子核を構成している力が、「強い力」です。
京都大学の湯川博士がノーベル賞を受賞した、「中間子理論」というのも、「強い力」の究明の功績を認められたからであります。
原爆や原子力発電の原理は、この「強い力」によるものです。
一方、「弱い力」とは、中性子が量子飛躍によって陽子に変わる時に働く力で、普段のわたしたちには無縁のように思い勝ちですが、実はこの「弱い力」こそが、わたしたちの意識と深く関わっているのです。
ここでは、「弱い力」と意識の関係についての言及は避けますが、おいおいお話したいと思います。
そして、「強い力」こそ、「激しい運動」と深く関わっているのです。
従って、「重力」と「電気の力」が、「普段の運動」と関わっており、「強い力」と「激しい運動」が関わっていると言っていいでしょう。
静止の暗闇と沈黙の絶対宇宙では、唯一の力しかなかったのに、何故四つの力に枝分かれしたのでしょうか。
ビッグバン直後の10の44乗分の1秒後に先ず、「重力」が枝分かれした。
その時の宇宙の温度は10の32乗度K −Kは絶対温度のことでセ氏マイナス273.15度を絶対零度として特に超高温を示す時に使われるために、ケルビン(K)という学者が考え出したことからKで表されています−というものすごい高温であったのです。
そしてわたしたちの宇宙が誕生して10の36乗分の1秒後に、「強い力」が更に枝分かれした、その時の宇宙の温度が若干下がって、10の28乗度Kであったのです。
要するに宇宙の温度がどんどん下がって行く中で、四つの力が枝分かれしていったのです。
更に、10の11乗分の1秒後に、「電気の力」と「弱い力」が枝分かれした時の、宇宙の温度は10の15乗度Kに下がっていた。
水の温度が変化すると、水蒸気になったり、氷になったりします。
この変化を相転移といいます。
「神はすぐ傍」で相転移のことを説明しましたが、水はH2Oで表現しますが、温度によって、水という液体の場合もあれば、水蒸気という気体の場合もあれば、氷という固体の場合もあるわけで、こういった変化を相転移といいます。
わたしたちの宇宙も、誕生した直後の温度の変化で相転移を起こしたのです。
逆に言えば、温度の急激な変化で相転移を起こした結果、力が枝分かれしたと言えるのです。
先ず、「重力」が、温度変化による相転移によって枝分かれした。
更に「強い力」が、温度変化による相転移によって枝分かれした。
平たく言えば、水という液体が水蒸気になったり、氷になったりするように、「重力」による「普段の運動」のあと、「強い力」による「激しい運動」が生まれたと考えたらいいでしょう。
水蒸気という気体の温度がセ氏100度以下に下がると、水という液体に変わる。
「普段の運動」の誕生であります。
水という液体の温度がセ氏0以下に下がると、氷という固体に変わる。
「激しい運動」の誕生であります。