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Chapter 444 人間・金太郎飴 外見上の美しさは、所詮一時的なものですが、内面的な美しさは永遠のものであります。 熱力学第二の法則、つまり使用可能なエネルギーとエントロピーの関係で言えば、外見上の美しさはすぐにエントロピーになってしまいますが、内面的な美しさはいつまでも使用可能なエネルギーだと言えます。 つまり外見上の美しさは、二元論に縛られた醜さに対する美しさであり、美しさの背面には常に醜さが潜んでいる。 こんな逸話を聞いたことがあります。 ある日、白隠和尚の処に百姓の金太がやってきた。 「和尚、俺は奇麗な嫁をもらって幸せだ!」 白隠和尚が言った。 「そのうち、奇麗な嫁をもらったことを悔やむ時が来るだろう」 金太は、「生臭坊主!」と怒鳴って帰った。 それからしばらくして、金太が白隠和尚の処にやって来た。 「和尚、あんたの言ったことは正しかった。奇麗な嫁は、その美しさを鼻にかけて、それはそれは醜い匂いがプンプンする。それに比べて、今度の嫁は、外見の醜さのために、心が美しくて、俺は幸せだ!」 白隠和尚が言った。 「そのうち、心の奇麗な嫁をもらったことを悔やむ時が来るだろう」 金太は、「生臭坊主!」と怒鳴って帰った。 それからしばらくして、金太が白隠和尚の処にやって来た。 「和尚、あんたの言ったことは正しかった。外見が醜くて心の美しい嫁は、己の心の美しさを鼻に掛けて、醜い匂いをプンプンさせる。それに比べて、外見の美しい嫁は、己の心の醜さを恥じて、今では、外見も心も美しい嫁になった。俺は幸せだ!」 白隠和尚が言った。 「そのうち、外見も心も奇麗な嫁をもらったことを悔やむ時が来るだろう」 金太は、「生臭坊主!」と怒鳴って帰った。 それからしばらくして、金太の噂が白隠和尚の処に流れて来た。 金太は犬になって、本当の幸せ者になったらしい。 外見上の美しさは、まさにエントロピーであります。 一時として止まっていることはないのであります。 それに対して、内面的な美しさは、「想い」の重さに依るものでありますから、歳を重ねれば、重ねる程、更に美しくなる、絶対一元の美しさであります。 薔薇の花を見て美しいと思うのと、薔薇の花であっても、タンポポの花であっても、ハナを見て美しいと思うのとは、違うのです。 現代世相は、まさに外見上の美ばかりを追いかける人間・金太郎飴で溢れているようであります。 |