Chapter 677 醒めた人・眠った人

夢を観るのは眠った時と決まっているのが一般常識であります。
「夢の中の眠り」では、夢は四六時中観ているものと一貫して申してきました。
生れつき目の不自由な方は、夢を観るのではなくて、夢を聞くのです。
嗅覚の発達した犬は、夢を匂っているのです。
料理の名人は、夢を味わっているのです。
セックスを商いにしている人は、夢を肌で感じているのです。
見る生き物であるわたしたち人間は、夢を観るのが当たり前のように思っていますが、夢は決して観るだけのものではなく、夢を聞く、夢を匂う、夢を味わう、夢を肌で感じているのです。
夢の原作は記憶です。
従って、夢は記憶の質によって決まると言っていいでしょう。
画像で記憶すると、夢を観る。
音で記憶すると、夢を聞く。
匂いで記憶すると、夢を匂う。
味で記憶すると、夢を味わう。
触覚で記憶すると、夢を肌で感じる。
記憶は定かでないが、ある景色を見て、「いつ、どこ」かはわからないが、以前出会った記憶が微かにあるといった経験が誰でも一度ぐらいはある。
昼間目が醒めている時に、無意識下で夢を観ている状態なのです。
テレビのコマーシャルは繰り返し効果を狙ったもので、同じ音楽を何度も何度も繰り返されると鮮明に記憶され、夜眠っていても、昼間起きていても、コマーシャルの音楽が脳裏から離れないことがあります。
昼間目が醒めている時でも、洗脳されたようにコマーシャルソングが頭の中を駆け巡り、無意識の中で口ずさんでいることがあります。
実は夢を聞いている状態なのです。
わたしたちは見る生き物ですから、夢を聞くことは滅多にない故、夢を聞いているのがどんな状態なのかわかっていないのです。
実は昼間目が醒めている時に、無意識下で歌を口ずさんでいることこそ、夢を聞いている状態なのです。
街中で出合った女性の姿だけでは思い出せなかったのに、近づくに連れて女性の肉体から発する匂いで思い出すことがあります。
実は昼間目が醒めている時に、無意識下で夢を匂っている状態なのです。
形つまり画像だけでは思い出せない食べものを、味わうことで思い出すことがあります。
実は昼間目が醒めている時に、無意識下で夢を味わっている状態なのです。
長い間タンスの中にしまい込んであった衣類の姿形は忘れているのに、着てみて肌で感じることで思い出すことがあります。
実は昼間目が醒めている時に、無意識下で夢を肌で感じているのです。
つまり、記憶を思い出す行為すなわち五感が働いて(運動して)湧く「想い」こそが、夢の正体であり、一枚の静止画面であり、更に連想することによって動画面になり所謂現実と化すのであります。
今まで現実だと思い込んできた所謂現実、つまり自分以外の他者はすべて映像の世界であり、夢の世界であったのです。
夜眠っている時に夢を観、昼間目が醒めている時は現実を生きていると思い込んできたわたしたちですが、実は夢を一日24時間観続けているわけです。
一日24時間夢を観続けている方は意識が一日24時間眠っていることになり、一日24時間意識が醒めている方は、夜も昼も醒めていることになります。
『今、ここ』を生きている人間は一日24時間醒めた人であり、過去・現在・未来に「想い」を馳せている人は一日24時間眠っている人であります。