Chapter 747 嘘をつく生き物・人間

嘘をつかない人間はいない。
嘘をつく生き物はいない。
嘘をつくのが人間の専売特許であります。
四苦八苦するのも人間の専売特許であります。
“汝嘘をつくなかれ”
有名な十戒の一つですが、他の生き物はそんな戒めなどなくても、嘘などついたことがないのに、“汝嘘をつくなかれ”と教えられた人間だけが嘘をつく。
“汝・・・なかれ”と言われると、余計したくなるのが人間の性であるようです。
その中でも自分に嘘をつくことは、“汝殺すなかれ”、“汝盗むなかれ”・・・“汝嘘をつくなかれ”の十戒の最大の間違い(Mistake)であります。
殺す・盗むは、他の生き物でもしますが、嘘をつくことは一切しません。
畢竟、人間だけにある四苦八苦の原因は嘘をつく行為にあるのです。
殺す・盗む行為も、殺す者・殺される者がいるから罪になるのであって、他の生き物のように、唯殺す行為・唯盗む行為だけなら罪ではなく、自然の行為に過ぎません。
しかし嘘をつく行為は、自然の摂理つまり地球の法則の下には存在しません。
嘘をつく行為には、自他の区分けはないのです。
嘘をつくとは、自分に嘘をつく以外ないのです。
人間として最も忌むべき行為が己に嘘をつくことであり、居直る人間とは己に嘘をつく人間のことであります。
居直ることと、肚を括ることとは根本的に違います。
居直ることは他者に対する行為であり、肚を括ることは自分に対する行為であります。
わたしたち人間だけが四苦八苦つまり生・老・病・死・愛別離苦・求不得苦・怨憎会苦・五蘊盛苦の人生を送らなければならないのは、己に嘘をつくからであります。
誕生・生・死の円回帰運動の中で、常に病(やまい)の甲・乙・丙状態のどこかに置かれているのは、己に嘘をつくからであります。
病(やまい)の状態とは、嘘をつくことに外なりません。
嘘をつくと分裂状態になる。
精神病のことを分裂症と言いますが、まさしく分裂することが病(やまい)である証左で、己に嘘をつくことは病(やまい)の原因であります。
肉体も精神もつまり心体(じんたい)における病(やまい)とは、分裂状態のことであります。
居直る人間は遅かれ早かれ心体が病(やまい)の丙状態まで落ちてゆき、病(やまい)の丙状態から死に至ります。
病(やまい)の丙状態から死に至ることを病死と言う最下層の死に方であり、病死は自殺よりも最下層の死に方であります。
自殺は病(やまい)の乙状態の中で死に至ります。
大往生とは病(やまい)の甲状態の中で死に至ることを言います。
病(やまい)の丙状態を常態としていると、己に嘘ばかりつく居直る人間になり、挙げ句の果てに病死という最下層に死に方をするわけです。
“小難しいややこしい話など御免蒙る”、“この世の中、楽しくおかしく暮らせばいいんだ!”と詭弁で喚き、挙げ句の果てに、“先生!まだ死にたくない!助けてくれ!”と叫びながら、集中治療室という現代社会の電気椅子死刑台に運ばれ、晴れて最下層の死に方である病死と相成るわけです。
現代日本社会の90%以上が病死という最下層の死に方をしているのです。
病気つまり気の病(やまい)とは、己に嘘をつく結果生じる現象であることを、よくよく肝に銘ずべきであります。