Chapter 749 嘘を呑み込む化け物・人間

一部限られた支配意欲を持つ人間によって、圧倒的大多数の人間が、嘘をつくことの本質である自己への嘘から、他人への嘘に変質させられてしまった。
支配・被支配二層構造の人間社会の誕生であります。
支配されているのに、支配していると錯覚させられる。
差別されているのに、差別していると錯覚させられる。
自分に嘘をついているのに、他人に嘘をついていると錯覚させられる。
こうやって、わたしたち一般大衆つまり庶民は洗脳され続けてきたのです。
結果、自分が行っている言動の真意を理解できず、支離滅裂な言動を繰り返し、挙げ句の果てに、四苦八苦の人生を送るわけです。
ある逸話を紹介します。

禅の師匠と弟子たちがいた。
師匠のところに多くの弟子たちが学びに来ていた。
もちろん、授業料は無料だ。
そこに、一人の俗っぽい老人が弟子として迷い込んできて、周りの弟子たちを糾弾した。
“あなたがたは、師匠から学ぶことの大切さをわかっていないのではないか?無料で教えてもらっているから来ているだけではないか?有料であっても、喜んで学びに来るか?”
年長者で道理のわかる一人の弟子が、怒りで顔を真っ赤にして反論した。
“わたしは無料だから学びに来ているのではない!たとえ10万円でも、百万円でも喜んで学びに来る!”
議論し合った二人の弟子は、やがて共に師匠のところに学びに来なくなった。

人間とはかくも、自分の言ったことを平気で呑み込む生き物であります。
他人に嘘をついているつもりでも、実は自分に嘘をついていることにお互いに気づいていないのであります。
執筆中の拙著「鬼神冬子」の第四章「永世中立国・日本誕生」で書きました、二十一世紀の人類の在り方の一つを紹介しましょう。

・人間にとって一番醜いことは、自己の言ったことを守らず、言ったことを自己保身のために呑みこむことである。それを罪意識なく為す人間は、必ずこの世で地獄の苦 しみを味わうことになることを決して忘れてはならない。

わたしたち一般大衆は、己に嘘をついていることすら自覚できていない程愚かな生き方をしているのです。
況や、他人に嘘をつくことなど平気になる。
生き物の中で唯一嘘をつく生き物・人間の所以でありますが、更に酷いことに、嘘を呑み込む化け物・人間が余りにも多い現代社会であります。