Chapter 767 恐るべき民主主義社会

似非共産主義である社会主義の教義(ドグマ)は、世襲・相続を認め、私有財産を禁じた点に集約されます。
社会主義が似非共産主義である所以が、この矛盾に凝縮されていると言ってもいいでしょう。
真の共産主義は私有財産を認め、世襲・相続を認めない点にあります。
似非共産主義である社会主義は世襲・相続を認め、私有財産を認めない点にあります。
私有財産と世襲・相続の関係が、まさに“タマゴが先か、ニワトリが先か”の原因と結果の関係になっているのです。
“私有財産を禁ずれば、相続するものは無いから、相続も禁止したことになる”
似非共産主義者たちは主張するでしょう。
私有財産の禁止を以て、相続の禁止にもなるというわけです。
私有財産禁止が原因で、相続の禁止が結果というわけで、一見道理に適っているように思えます。
似非共産主義者たちは、そこで罠を張ったのです。
世襲による相続の永代継続であります。
財産には有形財産と無形財産があり、有形財産は相続によって継続をするが、無形財産は世襲によって継続する違いがあります。
似非共産主義者たちが張った罠とは、有形財産を継続する相続を私有財産の禁止によって否定したが、無形財産を継続する世襲を認めることによって、実質財産の永代継続を肯定したことであります。
ソ連にはノーメンクラツーラ(赤い貴族)と呼ばれる官僚支配階級制度があり、世襲制を敷いていました。
ノーメンクラツーラ(赤い貴族)は子々孫々、永代継続されたのです。
私有財産を禁止しても、権力の世襲は認められていたのであります。
権力者にとっての憲法・法律は自分の言葉ですから、私有財産などまったく必要ないのは、北朝鮮の金正日政権が証明しています。
世襲によって永代相続をしているわけです。
相続税はあっても、世襲税がない所以でもあります。
世襲さえ維持できれば、相続も相続税も無用の長物になるのです。
堤一族は西武グループを相続ではなくて、世襲で維持しようとしたのです。
世襲議員が続出するのも、相続ではなくて、世襲で財産を維持しようとしているのです。
現代社会は何もかも世襲で財産を永代継続しようとする風潮が蔓延しています。
政治家の世襲。
医者・宗教者・弁護士・教師といった聖職者の世襲。
歌舞伎役者から漫才師までの芸人の世襲。
プロスポーツマンの世襲。
近い将来起こるであろう高級官僚の世襲は、塾通いから進学校を経て東大へのエスカレーターシステムが確立された時点で成立するでしょう。
私有財産の概念と世襲・相続の概念の矛盾。
世襲を上位とし、相続を下位とする、世襲・相続の階層構造。
相続税の正体は、民主主義社会での被支配者の私有財産の合法的没収に外なりません。
現代先進社会を中心に、貧富の格差がはげしくなっています。
中産階級社会であった日本でも、未曾有の貧富の格差現象が出始めていて、ホームレスの大量発生はその兆候に外なりません。
わたしたちが標榜する民主主義社会とは、嘘と偽りと罠に塗れた恐るべき社会であることを自覚する時がやって来ているのです。