Chapter 815 『今、ここ』の瞬間(とき)

映像を観ているに過ぎない夢を、わたしたちは現実だと思っている。
眠りから目が醒めることで、夢だったと気づく。
意識が醒めているか、意識が眠っているかの違いは、現実だと思っているか、夢だと気づいているかの違いにあります。
現実だと思っている間は、意識が眠っているのであり、夢の世界にいるのです。
夢だと気づいたら、意識は醒めているのであり、現実の世界にいるのです。
現実だと思ったら、意識は眠っているのであり、夢の世界にいるのです。
夢だと気づいたら、夢から醒めたのであり、目が醒めているのです。
現実だと思っている世界が現実であり、夢だと思っている世界が夢であると思っているなら、夢の中で夢だと思える筈であります。
ところが、わたしたちは、夢の真最中には現実だと思っている。
現実だと思っているものが夢であり、夢と思っているものが現実であるわけです。
夢と思っているのは、夢から醒めた直後だけですから、一日24時間四六時中眠り、夢を観ているわけです。
夢から醒めて、“ああ、これは夢だったんだ!”と思った瞬間(とき)だけ、醒めているのです。
夢のことを忘れていくに連れて、現実の世界に戻っている積もりが、実は夢の延長の中にいるのです。
吸う息と吐く息の合間にあるニュートラル・ポイントのように、意識の覚醒と眠りの合間のニュートラル・ポイントが現実に外なりません。
朝目が醒めた瞬間(とき)。
意識(「想い」)がはじめに醒めて、それから肉体(目)が醒める(開く)。
朝目が醒めるメカニズムは、意識(「想い)が先に醒め、その次に目(肉体)が醒める(開く)のです。
意識(「想い」)よりも目(肉体)が先に醒める(開く)ことはありません。
意識(「想い」)が醒めてから、肉体(目)が醒める(開く)までには数秒間掛かります。
夜眠りに就く瞬間(とき)。
肉体(目)がはじめに眠って(閉じて)、それから意識(「想い」)が眠る。
夜眠りに就くメカニズムは、肉体(目)が先に眠り(閉じて)、その次に意識(「想い」)が眠る。
肉体(目)よりも意識(「想い」)が先に眠ることはありません。
肉体(目)が眠って(閉じて)から、意識(「想い」)が眠るまでには数秒間掛かります。
数秒間の合間こそが、意識が覚醒している瞬間であります。
意識の部分観である「想い」と、肉体の部分観である目(五感)が、醒めたり、眠ったりしているだけで、全体観である肉体と意識が眠っていることはないのです。
そのことに気づいているのが、意識が醒めていることに外なりません。
そのことに気づいていないのが、意識が眠っていることに外なりません。
朝目が醒めた瞬間(とき)の数秒間。
夜眠りに就く瞬間(とき)の数秒間。
このシフトチェンジの合間(ニュートラル・ポイント)こそが、気づきの瞬間(とき)であり、『今、ここ』とは正にこの瞬間(とき)であるのです。
『今、ここ』の瞬間(とき)とは、時間の「時」であり、時刻の「刻」であるのです。