Chapter 828 時間の流れ

物理学では、時間の流れは三種類あると言い、それを三本の時間の矢と呼んでいます。
第一は、心理的時間の矢。
過去から未来へと流れる時間。つまり過去は憶えているが、未来は憶えていないとする時間の方向。
第二は、熱力学的な時間の矢。つまり無秩序(エントロピー)が増加する時間の方向。
第三は、宇宙論的な時間の矢。つまり宇宙が膨張する時間の方向。
これら三つの時間の矢は常に同じ方向を指すと主張するのが、イギリスの物理学者ホーキング博士です。
Chapter827で述べましたように、これら三本の時間の矢は確かに常に同じ方向を指してはいるが、150億光年の拡がりを持つ、運動の光と音(喧噪)の全体宇宙というマクロレベルから、素粒子というミクロレベルまで、誕生・生・死、つまり、プラス(+)・ニュートラル(0)・マイナス(-)という三つの基本法則によって円回帰運動をしていて、且つ、最長形態であるそれぞれの一生から、最短形態の一息の間に無数の誕生・生・死という円回帰運動形態がある。
平たく言えば、わたしたちは一生という最長形態の誕生・生・死から、一息という最短形態の誕生・生・死の間で随時、誕生・生・死を繰り返しているわけです。
死とは一生に一度やってくるだけではなくて、随時、死がやってくる、もっと厳密に言えば、死の中で生を生きているということであります。
従って、三本の時間の矢も、常に同じ方向を指しているわけではなく、随時、反転していることになります。
時間が過去から未来に流れるから、宇宙は膨張し、無秩序(エントロピー)は増加する。
時間が未来から過去に流れるなら、宇宙は収縮し、無秩序(エントロピー)は減少する。
夢の中では、時間は過去から未来へ流れているだけではなく、時には、未来から過去へ流れている場合もあります。
その場合は、宇宙は収縮し、無秩序(エントロピー)は減少している筈です。
宇宙が収縮しているなら、無秩序(エントロピー)は減少、時間は未来から過去へ流れている筈です。
無秩序(エントロピー)が減少しているなら、宇宙は収縮し、時間は未来から過去へ流れている筈です。
時間の矢の流れを直線的に捉えれば、上記したことになりますが、すべてが円回帰運動する世界では、運動形態は直線的ではなく、三角関数曲線的ですから、山あり谷ありの繰り返し運動になる筈です。
結論は、心理的時間の矢は過去から未来、熱力学的な時間の矢は無秩序(エントロピー)の増加、宇宙論的な時間の矢は、膨張し続ける、とは限らず、逆の方向にも随時流れているということです。
わたしたちにとって重要なのは、心理的な時間の矢が、常に、過去から未来であるとは限らないということであり、随時、時間は未来から過去へ流れる場合もあるということです。
わたしたちは、時間は常に過去から未来へ一方通行で流れていると思い込んで生きてきました。
しかし人生の一部である夢の世界では、時間は、未来から過去へ流れる場合もある。
ひょっとしたら、夢は人生の一部ではなく、大半かも知れない。
意識が醒めていたら、人生の大半は夢でなく現実ですが、意識が眠っていたら、人生の大半は夢です。
意識が醒めているということは、『今、ここ』を生きていることであり、意識が眠っているということは、過去や未来に思いを馳せて生きているということであります。
過去を悔やみ、未来(将来)に不安(取り越し苦労)を持ちながら生きているなら、夢の世界で生きていることであり、時間はそれこそ心理的時間の矢であり、過去から未来への一方通行ではなく、未来から過去へ流れる、つまり、未来は憶えているが、過去は憶えていないような人生を送っていることになります。
思い悩み、四苦八苦し、“金がすべてである”といった拝金主義に陥るのは、夢の中で眠っているからであります。