Chapter 840 偽モノ社会

差別・不条理・戦争が横行する人間社会は、文明がいくら発達してもまったく変わっていません。
支配・被支配二層構造の世襲・相続の差別社会が続く限り、差別・不条理・戦争が途絶えることはない。
文明とは一体何であったのでしょうか。
極論すれば支配方法の進化が文明の進化であり、人類の歴史とは支配方法の進化過程の検証であったと言っても過言ではない。
古代においての文明は信仰(小乗的)でありました。
中世においての文明は宗教(大乗的)でありました。
近代とは信仰・宗教からの脱却に外ならなかったのですが、その役割を負った科学も所詮は支配の一進化過程に過ぎなかった。
ルネッサンス・産業革命の根底にあった宗教革命とは、信仰・宗教という支配方法から科学という支配方法への革命であったわけですが、支配方法の進化過程という点においては何ら変わっていなかったのです。
キリスト教圏世界とイスラム教圏世界が争っているのを、「文明の衝突」と呼んでいるのは、文明こそが宗教であることを証明しています。
キリスト教圏世界の文明が近代科学であり、イスラム教圏世界の文明が宗教にあるだけのことで、支配方法の違いに過ぎないわけで、つまり支配者側の論理だけであり、被支配者側にとっては、科学であろうが宗教であろうが、支配される方法が違うだけのことであります。
宗教による支配方法が奴隷制であるのに対し、科学による支配方法が民主主義であるだけのことです。
宗教による支配方法の根底にある奴隷制がイスラム教圏世界のイメージを悪くしていて、民主主義という支配方法が科学的であるゆえに、キリスト教圏世界のイメージが好いだけのことであって、文明が先進的か後進的かの違いは、支配方法が科学的か宗教的かの違いに過ぎません。
“テロ撲滅運動”
アメリカが中心になった先進国世界のスローガンであり、テロ活動を展開する後進国世界のイスラム教圏世界を非難していますが、所詮は、支配方法の違い、つまりイデオロギーの対決に過ぎないことを、被支配者側であるわたしたち一般民衆(国民)は認識しなければならない。
戒めを説くイスラム教は性悪説。
愛を説くキリスト教は性善説。
一見対立するようですが、これも二元論であって、性善説と性悪説は表裏一体の相対関係にあるのです。
表面が性善説、裏面が性悪説という一枚の支配方法というコインに過ぎない。
性善説は宗教革命以後は科学を打ち出したのに対し、性悪説は依然宗教色を強く打ち出しているに過ぎない。
科学を打ち出した性善説は偽善的になり、宗教を打ち出した性悪説は偽悪的になっているのです。
キリスト教が偽善的であり、イスラム教が偽悪的である所以であり、文明の衝突とは、偽善と偽悪の衝突と言い換えてもいいわけです。
宗教とは本来偽悪的であったのです。
科学とは本来偽善的であったのです。
支配・被支配二層構造の世襲・相続の差別社会が人間社会だけのものであり、自然の法則にはない概念である点において、共に偽であることには変わりないのです。