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第三十四章 島国の統一 ナムチの提案は島の中で最大の盆地の地に須佐乃男の息子としてナムチが先兵で治めに行くという。いずれは、必ず、この盆地に統一王国をつくり、その名を大倭(おおやまと)の国とするのが、日向の夢であり、出雲の夢でもあった。 そして、同じ扶余一族の血を引く高句麗と百済の夢でもあった。 ナムチは、そのために須佐之男の養子となって、大倭の国づくりの先行隊として行かせて欲しいと須佐乃男に申し入れた。 ただし、出雲の地はフガ一人では心配なので、高句麗にいるナムチの七人の兄たちを出雲に呼び寄せるという。そして、新しいヤマタのオロチ一族をつくり、フガは高句麗の李生成の元へ帰国するのが一番いいとナムチは考えた。李生成も性格的には酒・女好きで、フガがその血を引いている。 そして、死国にいる稲飯の力を借りて、北と南から攻め寄せ先住民の長髄彦(ナガスネヒコ)一族を攻め落とすつもりだ。 ここに、高句麗・百済の扶余一族と、ペルシャ延いてはモーゼの末裔である古代ヘブライ人の血を引く稲飯とが、連合を組んで大倭(おおやまと)の国づくりを開始するべきであると、ナムチは須佐之男に熱弁をふるった。 「ナムチ、お前は、高句麗の李生成の薫陶を受けたな・・・」と須佐之男が笑いながら言うと、 「いや違います。李生成様と考えが合っただけです。半島の国と島の国が一致団結することが、大陸の大半を占める漢の国の属国にならないですむ唯一の策だと思います。西天の国も、ペルシャの国も、大秦(ローマ)の国も大きさの違いはあっても半島の国で、大陸の国ではありません。高句麗に、わたしの師がいました。その師の話ではもともと世界は海しかなかったが、ある日、陸が海から独立してできたそうです。そして最初の陸は小さかったから島だったのです。島がいくつか出来ていく過程で大きな島ができはじめた。その最初が半島であったのです。そして半島が拡大していって大陸になっていったそうです。だから人類の起源は当然のことながら、島の中から始まり、そして島から島へと広がり、島が半島になり、半島の持つ大陸へと広がっていった。人類の進化は島から半島へ、半島から大陸へ。これが、陸が誕生した時からの流れなのです。世界の文明は必ず半島で興っています。つまり人間の体で言えば腕であり、その中心になるのが付け根の部分です。それというのも、必ず付け根の部分は、川が大海に流れ出る場所だからです。川は陸が出来たとき、陸にとっての生命線なのです。 これも人間の体でたとえれば血の流れが川と言えるのです」 須佐之男はナムチの博識に舌を巻いた。 「要するに、大陸の国・漢と対抗するには、半島の国だけでは無理で、島の国と連合していくしかない。しかし島はばらばらに点在しているから統一するのが困難である、その困難なことを、わしにやらせようと言う訳だな?」と須佐之男は笑いながらナムチに言った。 「須佐之男様しか出来ない仕事です。そう李生成様も言っておられました」 「親父殿はそう言っておられたか」須佐之男が、李生成のことを初めて親父と言ったのである。 須佐之男は思った。 『島は小さいが、数が多い。大陸は大きいが故に数は少ない。だから島はばらばらでおっては、必ず大陸に支配される。親父殿やナムチの言う通りだ』 こうして、須佐之男はナムチを自分の養子にして、その名前も大国主命と名づけた。 島の国を統一してつくった大きな国の主と言う意味である。 須佐之男が大倭の国を統一した開祖であるが、実質それを成し遂げたのは大国主である。大国主は大倭の国に入ってからは、大物主とも呼ばれるようになった。 |