第四十九章  真の貢献者

人類の進化は一握りの人間によって為される。
しかも、その進化は遅々としたものだ。
キリスト教世界では、イエス・キリストが人類の進化にほんの少し程度貢献した。
イスラム教世界では、モハマッドが人類の進化にほんの少し程度貢献した。
仏教世界では、釈迦が人類の進化にほんの少し程度貢献した。
だが、それはほんの少し程度の進化だけである。
古代に生きた人間も、中世に生きた人間も、近代に生きた人間も、そして、現代に生きている人間もさほど変わらない。
どんな時代でも、圧倒的多数の人間は、“ええじゃないか!ええじゃないか!楽しければええじゃないか!”と阿呆踊りしているだけだ。
更に、脅威的なのは、人類の進化に貢献した人たちは悉く二十代の若者であり、特に、28才という重要な時期に人生最大の出来事が起こっている。
イエス・キリストもモハマッドも釈迦も28才の時に、人生最大の出来事が起こっている。
イエス・キリストがイエルサレムのエッセネ・スクールで“闇が実在で、光は闇の不在概念に過ぎない”ことを知ったのが、彼が28才の時であり、それから3年間、人々を説いてまわり、十字架に架けられた。
モハマッドが洞窟の中でコーランを書いたのが、彼が28才の時である。
釈迦が死を知ったのが、彼が28才の時であり、王国、家族を捨てて修行の旅に出た。
中国やインドといった当時の大国が欧米列強国の帝国覇権主義に蹂躙されて植民地に成り下がっていく中で、小国日本が欧米列強国の餌食にならなかったのは、明治維新によって逸早く近代国家に変身できたからであり、後に維新の元勲となった貢献者たちや、国の為に死んでいった人たちは悉く二十代の若者たちだった。
そんな時代の節目の中で、相も変わらず“ええじゃないか!ええじゃないか!楽しければええじゃないか!”と阿呆踊りしていたのは、年寄り連中が圧倒的に多い。
高齢化社会と少子化社会が同時にやって来た二十一世紀は最悪の世紀とも言えるだろう。
だがその理由は一重に、人類の数の異常増加にある。
反動が起きるのが、作用・反作用の法則が働く宇宙の掟だ。
人類の数の異常増加に対する反動は必ず起こる。
それを解決できるのは、二十代の若者だ。