雲を切る

あなたの 空 いっぱいにある雲

その雲に あなたの 気合の剣で

一太刀 いれる

斬った 傷から 空が見える

だが すぐに その傷は

あたらしい 雲で 塞がれる

もう 一太刀 いれてみる

また あたらしい 傷から 空が見える

次には 間をいれずに 二太刀目

三太刀 四太刀 …・・

そうすると 塞いできた雲が

今度は 自分から 消えていく

そうなったら あなたの勝ちだ



雲間を見る

前章では、考えることを感じることに変えるために、考えることそのものを感じる自分を見いだす方法を説明しました。
ここでは、欲望の浮上と、それにともなう思考が自分の中でどのようにうごめくかを認識することによって自己を発見する方法です。これは非常に簡単でとても優雅なものです。
あなたが街で美しい女性に出会った。
あなたは彼女を美しいと思う、そしてしばらく彼女の全体を見ている、そうすると今度はあなたの好きな体の部分を見る、たとえば口下がきれいな女性が好きだとすると口下を見る。
実は、最初からあなたは彼女の口下を見て美しいと思ってから、彼女の全体を見ているのですが、それを彼女に覚られると、彼女が拒否反応を示すことをよく知っているから、まず全体を見る振りをしているだけです。それがエゴの巧妙なところです。
恋人なら、彼女の体の一部分を見ても拒否反応は示さない。逆に喜んでその視線を受け入れる。あなたが自分の体のどこを好きなのかを知っていて、それをあなたに与えているから。それはもうあなたのものです。ですからあなたはじっと見ていようが、触っていようが彼女はそれを許す。
だがはじめて出会った人間にはそれが出来ない。できたら娼婦です。
そこであなたは、自分の中で起こった欲望が思考となって動き出すのをじっと見つめる。
彼女の口下を見て美しいと思うと、彼女を自分のものにしたいという思いが起こる。そこで欲望がまた浮上する。恋人同士がいつも結局破局に向かうのは、お互い、実は相手のすべてを好きではないからです。一部分だけが好きであり、あとから相手全体を好きだと思い込ませているだけで、はじめから相手のすべてを受け入れていないのですから、いずれ破局がくるのは当然です。それを食い止める手だては結婚という鎖でお互いつないでおくしかない。
欲望とともに起こる思考、そして思考とともにまた起こる新たな欲望、それらがどんなふうにあなたの中で動くかをじっと観察してみることです。
欲望が浮いて来つつある、欲望が浮きあがった、その欲望が次の欲望に移っていく、そして次の欲望が浮いてくるとともに、前の欲望が消えてゆく……。
最初はそのうごめきの変化を言葉で大きく出してみる。"彼女は美しい"・・・・"彼女を自分のものにしたい"と声で出してみる。その訓練を続けていって身につくと、今度はこころの中だけでそのうごめきをノートする。
そうすると、ある日突然、そのひとつひとつの思考、欲望がそれぞれまったく関連性のない独立したものであることに気がつく。と同時にそのうごめく思考、欲望という雲の間のギャップが見えてきて、そのむこうに真っ青な、汚れひとつない空があったことに気がつく。
その真っ青な空が、自分であったことを思い出す。