|
第六十七章 おぞましい現代社会 チベット仏教は聖徳太子が心酔した仏教の真髄を引き継いだもので、弘法大師が真言密教を恵果和尚から授けられたものです。 釈迦の原始仏教のエッセンスを包摂したのがチベット仏教です。 昨今、ダライ・ラマ十四世の煽動でチベット仏教僧が暴動を起こしたと中国政府が喧伝して、世界を驚かせましたが、彼らの頭の中に暴力という言葉などそもそもありません。 20年ほど前に「セブンイヤーズ・イン・チベット」という映画が日本でも放映されました。 オーストリアの登山家ハインリッヒ・ハラーと若かりし頃のダライ・ラマ十四世の友情劇でしたが、ハインリッヒ・ハラーがダライ・ラマ十四世の要請で、映画館を建設する件があります。 チベット仏教僧も建設に手伝うのですが、土を掘り起こすとミミズが一杯出てきて、ハインリッヒ・ハラーが踏み潰そうとすると、僧たちは「どんな生きものでも殺してはいけない!」と言って、土の中にいるミミズを助けようとする。 その様子を見ていたハインリッヒ・ハラーが、「こんな調子では、映画館の建設などとうてい無理です!」とダライ・ラマ十四世に訴える場面があります。 「いくら時間が掛かっても、どうか生きものを殺さずに、映画館をつくってください、お願いします!」 ダライ・ラマ十四世が訴え、ハインリッヒ・ハラーも心を動かされます。 こんなチベット仏教僧が、ラサの町の中にある店のシャッターを蹴飛ばすことなどするでしょうか。 現代社会のおぞましさに呆れかえるのは聖徳太子だけでは、あまりにも空しいと思うのですが。 |