第十四章(Part 1) 女人総なめ

貞子は義満によって女官としては最高の位を賜った。
徳川三代将軍家光と春日局との関係に酷似している。
後小松天皇の母である皇太后が厳子であり、厳子の姉である貞子は朝廷の女人を悉く品定めをしてから義満に献上していたのである。
その献上の方法が義満に大いに気に入られた。
永年続いた貞子と厳子との三つ巴の閨事を、目ぼしをつけた女人に覗き見させるのである。
上皇の后とその姉が絡む情交を見せられた女人は大胆になり、情交の仲間入りをする。
そして二人の前で義満に味見されるのである。
最初は貞子との閨事だったのが、その後厳子が加わり、そして按察局(あぜちのつぼね)と悉く上皇の愛妾が義満の女人天国の住人になっていった。
まさに、その情景は男冥利に尽きる天国であった。
それを演出していたのが、後光厳天皇に捨てられた貞子であったということは、歴史の裏の話とはいえ余りにもドロドロしたものである。
そして義満は精力家としてだけではなく、政治家としても大きく育っていくのである。
まず手始めに、義満は自分に反抗的な公家をいじめ抜くことをした。
その餌食にされたのが西園寺、久我、葉室の御三家である。
特に西園寺家は武家申次(もうしつぎ)という、その後徳川時代まで続く武家伝奏(でんそう)である朝廷と幕府間の外交官であった。
武家申次はあくまで朝廷側から見た対幕府外交官であったが、義満は西園寺家からその職を奪い、幕府側に立った外交官である武家伝奏を設けたのである。
そして徐々に西園寺家の力を削いでいき、遂に北山第と呼ばれる義満の象徴である金閣寺を、西園寺家の領地を奪って建てるのである。