第十四章(Part 2) 告白

雲生和尚の目が爛々と輝いた。
『すべてを見透かされているようだ』と雄仁は思ったが、何とか踏ん張った。
「あなたはどこの出身ですか?」
「島根の木次と言うところです」
木次と言っても分からないだろうと高を括っていたら、雲西和尚は驚いた様子で、「ほう、あのヤマタのオロチで有名な出雲の氷川の木次ですか!」と言った。
まさか、木次と言うだけでヤマタのオロチ神話が出て来るとは、予想もしなかった雄仁は、そこで初めて自分の方から口を開いた。
「さすが、和尚さんだけに良くご存知ですね」
「木次というところは刀鍛冶で有名な町でしょう。あのヤマタのオロチ神話の布都御魂剣も木次で作られたという話です」
雄仁はそこまで知らなかったが、自分の父親が刀鍛冶であったから、ある程度の歴史は知っていた。
「わたしの父は木次で刀鍛冶でした」
自分の方から喋りだした雄仁に、雲西和尚は聞き役に回った。
「『・・・でした』ということは、もうお父上は亡くなられたのですか?」
また嫌な質問が飛んで来た。
「いえ。今は石見の刑務所に入っています」
さすがに和尚も予想できなかった話が出てきて関心を示した。
「何故、刑務所に?」
「自分の作った刀で、人を斬り殺したのです」
雲西和尚もこれ以上訊くことは良くないと思ったのか話題を変えた。
「それじゃ、お母さん一人で木次にいらっしゃるのですね?」
「ええ、そうです。近くの温泉旅館で働いています」
「温泉旅館で働いている・・・」と聞いた和尚の顔つきが変わった。
雄仁が言った時の表情を逃さなかったのだ。
「信長の顔がどちらが本物かを証明できるものはありませんが、つい最近ある処から、信長の写真に近い似顔絵が出て来たそうです。三重県だと思います。その似顔絵は大徳寺の坐像とそっくりだそうです。まだ識者はその似顔絵を認めていないそうですが・・・」
「どこに行ったら、その似顔絵を見ることが出来ますか?」
「あなたは今見ない方がいいと思います」
雄仁は首をかしげて雲西の顔を見た。