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第十五章(Part 1) 上皇乱心 自分の愛妾を義満が悉く寝取っていることを知って、上皇は最初激怒した。 況してや后である三条厳子まで、その中の一人だと言う。 上皇は武家申次である西園寺実俊にことの真相究明を命じた。 さすがの義満も事実関係を認める訳にはいかなかった。 「噂話とは言え、そのような恐れ多いことなど出来ようがござらん」 義満の弁明は、武家申次の実俊も信じることが出来ない程、ふてぶてしいものであった。 最初は義満の弁明をまともに受け、上皇の怒りは一旦収まった。 義満がそこで自重すればよかったのだが、上皇の愛妾たちとの情交を一向に控えなかった。 そして上皇が最も寵愛する按察局(あぜちのつぼね)に義満は遂に手を出した。 更に事態を悪くしたのは、上皇のお召しに対して按察局(あぜちのつぼね)が、体調が良くないからと言って断ったのである。 その話を聞いた義満は、貞子に自慢げに言った。 「よほど上皇の閨事は女人たちを満足させることが出来ぬらしいのう・・・」 「それは仕方ないことです。帝の閨事は女人が帝を一方的に満足させるだけで、あなた様のように、女人を天国に連れて行って下さるようなことをご存知ないのです。女人にとって、これほど辛いことはございませぬ。あなた様に女人の喜びを教えられた按察局殿が断られるのも無理からぬことです」 義満は『したり!』と内心ほくそ笑んだ。 頭に来た上皇は再度西園寺実俊に義満のところへ行かせた。 「左大臣殿。噂は本当ですね?上皇に、そう言上しても差し支えございませぬな?」 強気に言った実俊は、義満の不興を買った。 「実俊殿。そなたの妻殿は何という御名でありましたかな?」 西園寺実俊は、義満が鬼のような顔をして笑うのを見て震撼したが、すでに遅かった。 黙っている実俊に、義満は命令口調で言った。 「御名はどうでも構わぬ。今宵、わたしの寝床に来させるように。よろしいな!」 ニタッと笑って言う義満に、実俊は完全に牙を抜かれてしまった。 「はい。承知仕りました」 と答えるしかできなかったのである。 その後、西園寺家は義満から峻烈な要求をされることになる。 西園寺までが蹂躙された上皇は完全に乱心状態になってしまった。 |