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第十八章(Part 2) 再び京都へ 「まあ、退学するのはいつでも出来るのだから、僕と一緒に京都に行ってみないか?」 橿原教授からの突然の誘いを嬉しさと驚きで、雄仁は二も無く受けた。 「僕も前々から疑問に思っていた一つだから、一緒に京都に行って疑問の根源を探ってみよう!」 雄仁は、大徳寺の鹿覚和尚と金閣寺の雲西和尚の話をすると、教授は眼の色が変わるぐらい驚いている様子だった。 「君は、京都に行ってそこまでの人たちと話をしたのか!羨ましいよ。そんな名跡の住職の方々が会って下さるだけでも大変なことなのに、わざわざ茶室まで呼んで頂いてお話を聞くことが出来るなんて・・・、君は余程、気に入られたんだろうね」 「いや!変な学生に絡まれたと思ったんでしょう。京都という町は学生に対して寛大なところがあるようで、東京では学生というと親の脛(すね)をかじった半端者と思われがちですが、京都は将来を担う人材だから大事に育ててやろうという雰囲気があります。それで僕の好奇心に応えてくれたのだと思います」 雄仁の話を聞いて橿原教授も納得していた。 「そうか。京都というところをそんな風に思ったのかい。学生にとっては天国だね。そう言えば京都大学の先生方は非常に優秀な人が多いようだ。東京大学は国家の威信をかけての掛け声で帝国大学として誕生したから、いやに構えるところがあって、本来研究者の集まりだから、もっと自由さが必要なのに硬さばかりが目につく大学になってしまったようだね。それが白い巨塔と言われる所以だね。僕もいっそのこと君と一緒に京都に移ろうかな。これは冗談だけどね」 笑いながら言った教授だったが、眼は真剣そのものであった。 教授の真剣な表情に、雄仁もさすがに同意の気持ちを表わすような無責任な態度は出来ないと思ったが、心の中では、『そうしましょう!』と言っていた。 それから二日後、二人は京都に向かう夜行列車「銀河」に乗っていた。 東京を夜の十時に出発する「銀河」は寝台車であったが、二人は夜を明かして話をするために、普通座席車に乗っていた。 「京都には、何時に着くのかね?」 教授が雄仁に訊くと、 「朝の七時ですから、九時間かかります。時間はたっぷりあります」 雄仁は微笑ながら教授に言った。 教授も嬉しそうに頷いた。 |