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第三十章(Part 2) 信長の前世 信長の坐像と再会した雄仁は、まさに恍惚状態であった。 『これは、まさに狂気の顔だ!』 橿原教授が、わざわざ雄仁と一緒に京都まで来て、自分の実家の旅館にまで泊めたのは深い理由があった。 信長を見つめている平岡雄仁を見て、教授は確信を深めた。 人間の輪廻転生を信じるか。 この問題は人類の永遠のテーマであるが、まだ結論は出ていない。 いや、今後も人類がこの世から永遠に消えてなくなるまで、結論は出ないであろう。 もし輪廻転生があると仮定するなら、人間は前世における過ちを繰り返すことになる。 それは、自分の前世を知らないからであって、神がそれを敢えて知らしめないのかもしれない。 雄仁の大徳寺の信長坐像と金閣寺の美への憧れ。 足利義満と織田信長の輪廻転生の繰り返しを、身を以って体現する宿命を負った平岡雄仁の行く末を橿原教授は予感していた。 大徳寺を後にした二人は金閣寺に向かった。 舎利殿を池越しに眺めていた雄仁は、自分の胸の辺りで、三人の人間が交錯してはぶつかり合い、その都度激痛を感じている自分に、まだ気づいていなかった。 しかし橿原教授は充分認識していた。 『これから、どんな事が起きても驚かない・・・』 自分に言い聞かせている教授は顔面蒼白だった。 一方、恍惚状態の残像を依然醸し出している平岡雄仁は、ますます大きく羽ばたいていくのであった。 |